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2008年03月20日
■ 実力を見せる若手ディフェンダー

今シーズンのJ1の特徴の1つに挙げられるのが、若手ディフェンダーの台頭が著しいことである。

その筆頭は、名古屋グランパスでセンターバックのポジションをつかんだ吉田麻也(19歳/186cm)。抜群の空中戦の強さに加えてクレバーさも見せつけており、第2節の浦和戦ではパートナーのDFバヤリッツァを欠きながら、FW高原とFWエジミウソンの2トップを完封。名古屋ユース時代はボランチやトップ下でのプレーが多く、センターバックではなかったということで、経験は浅いが、その分、ノビシロは大きい。

同じく名古屋でプレーするDF竹内彬(24歳/180cm)は、本職はセンターバックであるが、京都との開幕戦では右サイドバックでプレー。FWヨンセンの同点のヘディングゴールをアシストするなど、高精度クロスを連発して一気に注目を集めた。第2節ではDFバヤリッツァの怪我の影響でCBでプレーし、DF吉田とのコンビで完封勝利に貢献。伸び盛りの選手である。名古屋には、左サイドバックのDF阿部翔平(24歳/171cm)も昨シーズンの勢いを持続しており、優秀な若手DFが集まっている。

名古屋以外では、札幌のDF吉弘充志(22歳/182cm)に注目したい。サンフレッチェ広島から完全移籍を果たした吉弘は、開幕スタメンこそならなかったが、第2節の横浜FM戦で札幌デビュー。人に強く、体を張ったプレーを続けて横浜FMの攻撃を85分間、沈黙させた。三浦監督のDF陣に対する要求は高く、DF曽田やDF西澤、DF池内、DF西嶋、DF平岡らタレントの集まっているポジションではあるが、そんな中でつかんだスタメンで価値のあるプレーを見せた。

その札幌を下して2連勝スタートとなった横浜FMでは、3バックの左センターバックに起用されている田中祐介(21歳/181cm)のプレーが光る。もともとは左アウトサイドが専門のプレーヤーだが、DF松田らを押しのけてCBでプレー。スピードに乗ったオーバーラップが新しい横浜FMの攻撃のオプションとなりうる可能性を見せた。

1勝1分けとまずまずのスタートを切ったFC東京では、ユース育ちのDF吉本一謙(19歳/185cm)に注目せざる得ない。07年の開幕戦(vs 広島)でルーキー開幕スタメンという快挙を成し遂げた吉本だったが、FWウェズレイとFW佐藤寿人の前になす術なく3失点。わずか29分間。涙のデビュー戦となった。あれからちょうど1年たって、第2節の新潟戦でJリーグでは2試合目の出場。3対2の勝利に貢献した。昨シーズンからCBの人材に欠くFC東京の救世主になるのか。

FC東京では、大学生Jリーガーで北京五輪代表候補のDF長友佑都(21歳/170cm)の活躍も目立つ。開幕から本来の右サイドバックではなく左サイドバックでスタメンに起用されているが、圧倒的な身体能力の高さは魅力的で、攻撃のセンスにもあふれる。右利きではあるが、違和感なく左サイドをこなすユーティリティー性も光る。

同じくサイドプレーヤーとして要注意なのは、ジェフ千葉のDF松本憲(20歳/174cm)。従兄で陸上選手の末續慎吾ばりの超スピードは千葉の新しい武器になりつつある。経験値が不足しているため、荒さも目立つが素材としては申し分なく、開幕からリーグ戦で2試合連続スタメンとポジションをつかみつつある。

右サイドプレーヤーでは、ヴィッセル神戸のDF石櫃洋祐(24歳/178cm)も存在感を発揮し始めている。右足からの正確なクロスは魅力十分で、オーバーラップのタイミングや攻守のバランス感覚にも優れている。昨シーズンからウイークポイントとされた神戸の両サイドバックだが、右は石櫃で不動となっている。

もちろん、清水エスパルスのDF青山直晃(21歳/182cm)、ヴィッセル神戸のDF河本裕之(22歳/183cm)、大分トリニータのDF森重真人(20歳/179cm)、京都サンガFCのDF増嶋竜也(22歳/180cm)、ジュビロ磐田のDF加賀健一(24歳/181cm)、柏レイソルのDF大谷秀和(23歳/174cm)らの活躍は触れるまでもなく、また、ガンバ大阪のDF安田理大(20歳/173cm)や鹿島アントラーズのDF内田篤人(20歳/178cm)のカナダ世代の2人は岡田ジャパンの中でも地位を確保しつつある。

■ DF陣を育てる環境

Jリーグが開幕して数年間は、MF前園真聖(横浜F)、MF山口智(市原)、MF中田英寿(平塚)、MF中村俊輔(横浜)、MF大野敏隆(柏)、MF小野伸二(浦和)、MF稲本潤一(G大阪)、MF中田浩二(鹿島)、MF阿部勇樹(市原)といった中盤に優秀なタレント候補生が集まっていた。

当時は、「何故、中盤の選手にばかり優秀な選手が現れてくるのか?」について多いに議論のもとになったが、00年代に入ると、FW陣にもスター候補選手が生まれるようになった。FW田中達也(浦和)、FW大久保嘉人(C大阪)、FW坂田大輔(横浜FM)、FW平山相太(国見高校)、FW森本貴幸(東京V)らがそれである。

ただ、なかなかディフェンダー(特にセンターバック)には優秀な選手が生まれてこなかった。身体能力や体格面でのハンディもあるが、その理由の1つに挙げられるのが、「ディフェンダーを評価することは非常に難しく、日本には、優秀なDF陣を育て上げるだけの土壌が無いから。」という点が挙げられる。

テレビ画面で見られるシーンだけでは完全にはディフェンダーの働き(動き)を理解することは難しく、どうしても減点方式で評価せざる得ないのが実情である。相手FWにボールが渡らないように事前に執拗なマーキングを行って90分間ほとんど相手FWにボールを持たせなかったとしても、オン・ザ・ボールの動きばかりにスポットを当てる画面からはその奮闘ぶりが伝わって来ることは少なく、また、仮にスタジアム内で試合を観戦していたとしても、よほどその1人のDFに注目していない限り、賢明なプレーも見逃しがちである。

残念ながら、ドイツW杯ではDF陣がもっとも世界とのレベルの差を感じさせられる結果となった。日頃から彼らの動きに意識を働かせて、決定的に目に見えるミスだけを指摘するのではなく、目に見えにくい好プレーに対してもきちんとした評価を与えられるような環境にならなければ、今後も日本に優秀なDFは育たないだろう。

ただ、少しの意識改善がこれまで見えていなかったものを映し出すこともある。センターバックの人材の有無は、その国(あるいはそのクラブ)のサッカー観戦者のレベルを指し示すものの1つといえるのではないだろうか?


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