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イビチャ・オシム監督がPK戦を見ることができなかった尊い理由 サッカーコラム J3 Plus+ 

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ホーム > ジェフ千葉 > イビチャ・オシム監督がPK戦を見ることができなかった尊い理由

イビチャ・オシム監督がPK戦を見ることができなかった尊い理由 | | このエントリーを含むはてなブックマーク |

■ 引き裂かれたイレブン

「引き裂かれたイレブン 〜オシムの涙〜」というDVDを見た。これは、2000年にオランダで制作されたドキュメント番組をDVD化したものである。





かつて、ユーゴスラビアは、「7つの隣国、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字により構成される1つの国」と評された。(※7つの隣国:イタリア、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ギリシア、アルバニア/ 6つの共和国:スロベニア、クロアチア、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア/ 5つの民族:スロベニア人、クロアチア人、セルビア人、マケドニア人、モンテネグロ人/ 4つの言語:スロベニア語、セルビア語、クロアチア語、マケドニア語/ 3つの宗教:カトリック、東方正教、イスラム教/ 2つの文字:ラテン文字、キリル文字)第一次世界大戦の引き金となった「サラエボ事件」の舞台でもあり、ヨーロッパの火薬庫と言われた地域である。


※ サラエボ事件

1914年6月28日にオーストリア・ハンガリーの皇帝=国王の継承者フランツ・フェルディナント大公夫妻が当時オーストリア領であったサラエボ(現ボスニア・ヘルツェゴビナ領)を視察中、セルビア人の青年ガブリロ・プリンチプによって暗殺された事件。この事件をきっかけとして第一次世界大戦が勃発した。



■ ゴールデンエイジと光と影

ストーリーは、旧ユーゴスラビア代表のプロシネツキ、サビチェビッチ、ボバン、ミヤトビッチ、ミハイロビッチの過去の回想が中心となる。

1987年のワールドユースでユーゴスラビアは世界一に輝いた。プロサッカー選手として、プロシネツキはレアル・マドリードやFCバルセロナ、サビチェビッチとボバンはACミラン、ミヤトビッチはレアル・マドリード、ミハイロビッチはラツィオで一時代を築くことになる。この時代のユーゴは、巨大な才能が集まった宝庫だった。

このメンバーに、妖精ストイコビッチを加えたチームは、イビチャ・オシム監督のもと、90年のイタリアワールドカップを戦う。

「あれだけのメンバーをそろえながら、ベスト8止まりだった。」というのは、オシム批判で聞かれる声の1つだが、おそらく、少しでも世界史の知識がある人だったら、このような発言はできないだろう。

VTR中に、90年のイタリアワールドカップ直前にザグレブ(現クロアチアの首都)で親善試合を行うユーゴスラビア代表の映像が流れたが、ユーゴ代表選手の1人が、「11人対2万人の戦いだ。」と自嘲気味に話した。ワールドカップの歴史を見ても、このときのユーゴスラビア代表チームほど、自国民からサポートされなかったチームはないだろう。

インタービュー中に、ユーゴスラビア代表チームの最後の監督であるイビチャ・オシムは、

「おこがましい言い方かもしれないが、あのときユーゴがW杯で優勝していたら、歴史が変わったかも・・・。ボスニアが統一国家であることを受け入れて、その後の悲惨な紛争を避けられたかもしれない。」

と語っている。

ピクシーの美しい2ゴールでスペインを下し、ベスト8進出を決めた夜、オシムの故郷サラエボでも「ユーゴスラビア!ユーゴスラビア!」と街頭で叫び回る若者の姿がVTRで映し出された。この夜が、事実上、ユーゴスラビアが連邦共和国として機能した最後の日となった。

オシム監督は、準々決勝のアルゼンチン戦のPK戦を、ベンチで見ることはなかった。この行動に対しては、さまざまな解釈がなされたが、前述の発言を聞けば、その深い思いと苦悩を感じ取ることができる。


※ ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争

ユーゴスラビア解体の動きの中で、ボスニア・ヘルツェゴビナは1992年に独立を宣言したが、独立時に約430万人の人口のうち、民族構成の33%を占めるセルビア人と、17%のクロアチア人・44%のボシュニャク人(ムスリム人)が対立し、セルビア人側が分離を目指して4月から3年半以上にわたり戦争となった。

両者は全土で覇権を争って戦闘を繰り広げた結果、死者20万、難民・避難民200万が発生したほか、ボシュニャク人女性に対するレイプや強制出産などが行われ、第二次世界大戦後のヨーロッパで最悪の紛争となった。




民族のそして、故郷の運命を背負って戦ったユーゴスラビア代表チーム。サッカーは政治とは無関係でいてほしいと思うが、現実はそうもいかないのだ。

もし、ユーゴスラビアが国家として崩壊しなかったならば、イタリアワールドカップやEURO92でユーゴスラビア代表は、どんなファンタジーを醸し出したのだろうか?そして、イビチャ・オシムと、ジェフ千葉と、日本代表の未来は、どうなっていたのだろうか?


[ 2008/02/19 22:00 ] | | このエントリーを含むはてなブックマーク | ジェフ千葉 | TB(0) | コメント(1)
はじめましてです。
私もあの頃のユーゴスラビアを思うといたたまれません。
あんな戦争が起きなければ、ストイコビッチもサッカー後進国の日本でプレーすることも無かったし、彼はマラドーナやプラティニに匹敵するぐらいの大選手になっていたことでしょう。才能を奪うという戦争というモノを私は許せません。
[ 2009/11/27 11:47 ] [ 編集 ]
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