ゴール前に中澤佑二がいる幸せ
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■ 日本のウイークポイント
「日本代表の弱点は、センターバックである。」というのは、かなり前から言われ続けてきたことである。どうしても平均身長で劣る日本人の代表チームに、パワフルで、たくましくて、空中戦に強いセンターバックは、なかなか現われない。
例外が無いわけではない。ドーハで散ったオフトジャパンには、井原正巳がいた。182cmの長身、鋭い読み、クリーンに見えてダーティな仕事も厭わないタフさ等々。ディフェンダーとして求められる要素の全て備えていた井原は、日本代表のAマッチ出場記録を持っている。その井原も、1999年の南米選手権を最後に日本代表から退いた。「ポスト井原」探しは、急務となった。
■ シンデレラストーリー
そんなとき、現われた救世主が中澤だった。
1999年に東京VでJリーグにデビューすると、瞬く間に、日本のトップディフェンダーとなった。1999年9月のイラン戦ではA代表にデビューし、イラン代表ののFWダエイとマッチアップ。シドニー五輪世代であったが、翌日に行われる予定だった五輪代表の韓国戦を飛び超えて、フル代表に選出された。
目標だった2002年のワールドカップ出場はならなかったが、その後も順調なシーズンを送っていく。03年・04年には移籍先の横浜Fマリノスのリーグ連覇の主役となった。中国でのアジアカップ2004での活躍は、記述するまでもないだろう。中澤がいなかったら、ジーコ監督はドイツの地で指揮を揮っていなかったかもしれない。「こんなディフェンダーが日本代表にもいればなあ・・・。」という思いを実現させてくれたのが、中澤だった。
■ 代表引退と代表復帰
2006年のドイツワールドカップを終えて、中澤は代表チームからの引退を決意した。2006年の前半の中澤のプレーは、確かにおかしかった。長年の疲労はピークに達していた。中澤の状態が万全だったならば、あれだけ、FWビドゥカやFWプルソに好き放題されることはなかっただろう。
このとき、「チームに専念したい」、という中澤の気持ちは十分に理解できた。プロ選手である以上、万全の状態で出場できないことへの「悔しさ」や「申し訳なさ」は、一般人の想像以上のものがあるだろう。惜しまれつつ日の丸のユニフォームから去った。
しかしながら、中澤は、2007年になって、再び、日本代表に帰ってきた。当然のように、オシム監督も岡田監督も、中澤佑二をDFラインの中心として起用した。アジアカップ2007では、見事にオーストラリア代表にリベンジ。アジア屈指のディフェンダーであることを、アジア中に見せ付けた。
■ 中澤がいる幸せ
代表のレギュラーに固定されるようになったのが、2004年。代表を引退していた2006年の一時期を除くと、中澤が日本代表のゴール前にいることは当たり前になっている。相手チームにクロスボールを上げられたとしても、中澤がゴール前にいれば安心して見ていられるのが現状である。
しかしながら、中澤も29歳。まだまだ、プレーヤーとしての衰えは見られないが、そろそろ後継者探しをしておく必要がある。
その候補がいないわけではない。同じ187cmの長身で空中戦にめっぽう強い鹿島の岩政大樹。抜群の身体能力をもつセンターバックの申し子である清水の青山直晃。1対1に圧倒的な強さを見せるG大阪の水本裕貴。しかしかながら、いずれの選手も、国際舞台では未知数である。
日本サッカー界は、優秀なフォワードや優秀なミッドフィールダーを生み出すプログラムを確立しつつあるが、優秀なディフェンダーを育て上げたことはない。DF井原正巳やDF松田直樹は高校時代はフォワードでプレーした選手であり、田中マルクス闘莉王はブラジル出身である。
中澤は、エリートではない。東京Vでは練習生からのスタートだった。中澤は、突然変異の存在である。
前述の選手たちが、中澤が退くまでに、彼らがどれだけの成長を見せられるかは分からない。ただ、間違いなく、中澤がいなくなってとき、今以上に、中澤佑二の大きさを感じることになるだろう。そしてそれは、日本サッカー界にとって、致命的なことになりかねない。
それだけ、彼は偉大なセンターバックである。もちろん、マリノスでも・・・。
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