【日本×タイ】 あぶなげないスタート
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■ 南アフリカ大会への初戦
2010年のワールドカップ南アフリカ大会のアジア3次予選。バーレーン、オマーン、タイと同居する日本は、ホームのさいたまスタジアムでタイと対戦。
試合を優位に進める日本は、前半21分にMF遠藤の直接FKで先制。そのすぐ後に、タイに同点ゴールを奪われるが、後半9分にFW大久保のゴールで勝ち越すと、後半21分にDF中澤のヘディングシュートで突き放す。ロスタイムにも、途中出場のFW巻のゴールで4点目。結局、4対1で勝利し、好発進となった。
■ 危なげなく勝利
前半21分にMF遠藤のFKで先制。すぐ後に一瞬の隙をついたタイのミドルシュートで追いつかれたが、前半から日本がほぼボールを支配し、危なげない試合運びだった。
93年の一次予選のタイ戦、97年の一次予選のオマーン戦、04年のオマーン戦、05年の最終予選の北朝鮮戦とアジア予選の初戦はいずれもが1点差での勝利であり、今回も苦戦するのではという予想もあったが、まったく問題はなかった。
タイというと東南アジアの強国であり、伝統的に個人技術の高い好チームであるが、そのタイのサッカーをほとんど発揮させなかった点は、評価できる。最終スコアは4対1であったが、タイが自分たちの攻めの形を披露したのは、一度もなく、点差以上に力の差があったかもしれない。タイも辛抱強く守ったが、勝ち点を獲得できるチャンスはほとんどなかった。
■ 岡田監督の修正力
強いチームの特徴の1つといえるのが、「前半に悪かった部分をハーフタイムで修正できること」であるが、この試合の日本代表は、まさしく、そういうチームだった。
前半は、FW高原、FW大久保、MF山瀬の3人が孤立するケースも目立ったが、後半に入ると、中盤のサポートの量が増えて、MF中村憲やMF遠藤が前を向いてボールが増えて、数多くのチャンスを作った。岡田監督はハーフタイムに、運動量を増やすようイレブンに檄を飛ばしたようだが、見事にピッチ上で実践された。
ハーフタイム終了時点では、1対1というスコアだったが、日本の勝ち越しゴールは時間の問題であったといえる。
■ なくなりつつある「接近」
チリ戦のギクシャクした展開と比べると、3試合目となったタイ戦はずっとクリアな展開が出来るようになった。キャッチコピーのようになっている「接近、展開、連続」というフレーズだが、おそらくそれ自体に大きな意味はなく、単に言葉が独り歩きしているという状況だろう。
ショートパスが繋がるシーンもあって、そういう場面ではその色を感じなくもないが、過剰な「接近」はなくなって、ダイナミックな「展開」を図る場面が増えている。特に、MF中村憲のサイドチェンジが効果的に働いていて、彼がこのチームの核となっている。
■ 有効だった交代策
スタメンの選手の出来も悪くなかったが、交代で出場したFW巻やFW播戸が好プレーを見せて、チームに新しい力をもたらしたことも収穫といえる。リードした段階でのFW巻の投入は相手にとってはいやなものだろうし、短い時間でも得点の出来るFW播戸はスーパーサブとしては最適である。
この2枚に加えて、MF羽生やMF今野というカードもあって、バラエティ豊かなベンチメンバーとなりつつある。
■ リスクのかけ方
この試合では、極端にリスクを背負ってゴールを目指さなくてもチャンスが作れたが、相手がもっと上のレベルになると、もっとリスクを冒して攻めなければならなくなるシーンが増えていくだろう。
例えば、同点で試合終盤を迎えたと仮定すると、今の段階では、FW高原やFW大久保といった前線の選手が個人技術を発揮して状況を打開しようと役儀になるだろうことが想像できるが、まだチーム全体でどこをどうすれば、超攻撃的モードにスイッチできるのかが見えてこない。
■ 思い切りのなかった内田
個々の選手で見ると、3試合連続で先発出場を果たした19歳のDF内田は、いまひとつの出来だった。高い位置でボールを受けようとする姿勢は良かったが、相手DFと1対1になって突破できそうなシーンでも近くの味方にパスバックするケースも多かった。
現在の日本代表の<4−4−2>システムでは、右サイドバックの攻撃力が得点力に直結する重要なポジションであるが、オシムジャパンでレギュラーだったDF加地を上回る部分は見せられなかった。
ただ、つなぐサッカーを目指すのであれば、DF加地よりも精度の高いビルドアップが期待できる。その観点でスタメンに抜擢しているとすると、納得できる選択ではある。
■ イメージが共有されていない駒野
DF内田と同じく、左サイドのDF駒野もいまひとつだった。最終ラインから丁寧につないでいくチームの中で、ただ1人、DF駒野がイメージを共有できていないような感じを受けた。単純なミスパスも問題だが、仕掛けのパスを出した時に、駒野と受け手側であっていないケースが多く、そのボールを奪われてピンチに繋がりそうな場面も見られた。
他の選手は、同じような絵が描かれつつある中で、駒野のプレーだけが周りとややずれている感じがする。能力の高い選手なので、すぐにアジャストするだろうが、現時点ではうまくはいっていない。
■ エース高原
FW高原はノーゴール。3試合を経過して、徐々にコンディションは上がっているが、やはりベストには程遠い。前半は、相方がFW大久保だったこともあって、高原がポスト役にならなければならない状況にあったが、下がりすぎてしまった感もあって、効果的に絡めなかった。
高原の得点力を生かすならば、巻の2トップの方がベターだろうが、FW大久保は外せない存在となっているし、トップ下のMF山瀬も不可欠な選手である。ジーコジャパンでも直面した問題であるが、高原という選手は2トップのパートナーを選ばないオールラウンドな選手ではあるが、国際舞台で戦うには、ファーストトップでは限界も感じる。
2トップの組み合わせは無限に広がる状況で、高原がファーストチョイスには変わりはないが、彼を起用し続けるならば、彼を生かすべくチームを作っていく必要がある。
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