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2008年02月03日
■ 中田の成功例

欧州サッカーが世界の中心であることに疑いようも無い。特に、イングランドやスペインのリーグには、世界中から優秀な選手が集まってきて、ハイレベルな試合を見せてくれる。

例えば、MF中田英寿は、イタリアのペルージャに移籍しなければ、いくら日本代表で活躍し続けたとしても国際的な選手として認知されることは無かっただろう。富と名誉を手に入れるためには、イタリアに旅立つことが不可欠だった。

中田の場合は、イタリアでもたくましく生き抜くことのできるたくましさと知性を備えていた。だからイタリアでもまれて、急激な成長を見せた。そして成功した。しかしながら、誰もが中田英寿と言うわけではない。中田英寿の成功例をもってして、それ以外の選手を中田のスタンダードに当てはめることはできない。

彼以後、MF小野、MF稲本、MF小笠原、FW高原、MF中田浩二といった黄金世代の選手が次々と欧州のクラブに移籍を果たしたが、結局、現在の日本代表でポジションを獲得しているのは、同じ黄金世代の中でも、ずっとJリーグでプレーしてきたMF遠藤である。『欧州の空気を吸うだけで高く跳べるようになる』、というわけではない。

■ 育成を欧州クラブに任せる危険性

近年、MFカカー、FWクリスチャーノ・ロナウド、MFセスク、FWメッシら、若く優秀な選手が次々と育っている。彼らは、若くして母国を離れて欧州のビッグクラブに買われていった。そして、そこで順調に成長を遂げたことで、世界トップレベルの選手となった。

したがって、「日本からも、MFカカーやFWメッシを生み出そうとするならば、20歳そこそこの年齢で欧州クラブに移籍することが必要である。」と言う意見も一概には否定できない。日常から、世界レベルの選手たちに混じってプレーする機会が与えられた時、思わぬ飛躍を果たす選手がいるかもしれない。

しかしながら、通常、われわれは成功例しか見ていない。MFカカーを生み出すために、どれだけの才能がスポイルされてきたのか。ブラジル人選手でさえ、MFジュニーニョ・パウリスタ、MFデニウソンといった高いレベルで見ると失敗例に挙げられる選手も少なくない。彼らも、20歳そこそこで当時の記録的な移籍金で欧州クラブに買われたが、真の世界レベルの選手に飛躍することは無かった。

湯水のように才能が現われるブラジルやアルゼンチンのような国であれば、そういうギャンブルをしても問題ないかもしれない。しかしながら、日本はそうではない。毎年のように、FW柿谷曜一朗やFW森本貴幸のような才能は生まれてこない。

■ 稲本潤一のケース

今でも、MF稲本潤一のケースは残念に思う。彼は、21歳でアーセナルに旅立っていったが、そこで適切な指導を受けることが出来なかった。

20歳で日本代表のレギュラーポジションを獲得していた稲本は、この段階ですでに日本のトップ選手だった。スケールの大きさでいうと、稲本以上の選手は、当分、現われることはないだろう。それくらい強烈な選手だった。間違いなく、20歳の時点では、稲本潤一は世界レベルのボランチになれる要素があった。

誤った道に進もうとしたとき、自国の選手であれば、きちんと正してくれる理解者が存在する。もちろん、本人の問題も大きかったとは思うが、イングランドやトルコ、ドイツではそういう存在がいなかったと判断せざる得ない。

■ Jリーグはぬるま湯か?

よく、「欧州クラブに比べて、Jリーグはぬるま湯である。」と言われる。確かに、Jリーグは環境面で恵まれていて、特に日本人選手は、甘やかされてしまう部分が無いとはいえない。

ただ、それは選手の意識の問題で解決する問題である。Jリーグでもびっくりするような成長を遂げる選手は少なくないし、欧州クラブでも停滞する選手はいる。不適切なプレーをした選手を甘やかすほどJリーグのクラブのサポーターは甘くはないし、ポテンシャルを持ちながら発揮できない選手に対しても、甘くは無い。特にチームの中心選手であれば、愛ゆえになおさら、日本代表選手であっても容赦ない批判が浴びせられるだろう。

大切なのは、自分にあった環境を見つけることである。それは、欧州のクラブにあるかもしれないし、日本のクラブにあるかもしれない。


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