■ 準決勝第1試合元日の決勝を目指す準決勝の第1試合。リーグ3位のG大阪とJ2降格が決まっている広島が静岡のエコパで対戦。
2年連続の決勝進出を目指すG大阪は、<4-4-2>。GK藤ヶ谷。DF加地・山口・シジクレイ・安田。MF橋本・明神・遠藤・二川。FW播戸・バレー。MF家長、MF寺田、FW前田らがベンチに控える。
対する広島は、<3-5-2>。GK下田。DF槙野・ストヤノフ・盛田。MF森崎和・柏木・森崎浩・駒野・服部。FW平繁・佐藤。FWウェズレイはすでにブラジルに帰国しているため、出場しない。
■ 電光石火の先制ゴール先制したのは広島。前半開始24秒、DFラインの裏に飛び出たFW佐藤寿がループシュートを決める。G大阪のDFラインのオフサイドトラップの掛け損ないを逃さなかった。
追加点は、前半38分。右からのクロスボールをFW平繁がダイレクトボレーで決めた。FW平繁の巧みなテクニックが光ったファインゴールだった。
しかし、2失点目のすぐ後のプレーで、MF二川のパスを受けたFWバレーが決めて追撃する。G大阪が1対2と1点差に迫った。
■ 実らなかった西野采配G大阪は、後半にMF寺田、MF家長、FW前田と攻撃的なタレントを次々と投入するが、手薄になったDFラインの裏を突かれるになって、なかなか効果を発揮しない。ロスタイム直前には、途中出場のMF高柳がミドルシュートを突き刺して3対1とリードを広げた。
このまま広島が勝利し、元日の決勝戦に進出。対するG大阪は、ナビスコカップに続く2つ目のタイトルはならず、シーズンを終えた。
■ 停滞した攻撃G大阪は課題ともいえる立ち上がりのまずさを露呈した。開始から30分の間は、ペトロビッチ監督がハーフタイムに語ったように、完全に広島のペースだった。2失点目を喫してからは目が覚めたのか、攻撃的な姿勢を打ち出したが、同点に追いつくまでにはいかなかった。
この試合に限ったことではないが、バランスを崩すの恐怖からか、西野監督は思い切った選手起用ができなかった。この試合では、2点リードを奪われたことをきっかけにリスクを冒すことも出来るようになったが、J1リーグの後半戦にも多かった、「ビハインドの状況に追い込まれる前に何か対処できればな・・・・。」という試合となった。
橋本・明神・遠藤・二川の中盤は攻守のバランスにも優れているが、個人で打開できるプレーヤーでは無いので、流れが悪くなると、突如として機能性を失う。バックアップにはMF寺田、MF家長といったタレントも控えていただけに、悔やまれる。
結局、西野監督が次の一歩を踏み出すことができなかった。来シーズンに向けて、どのような変化を見せるかが、新シーズンのポイントになる。
■ 思い通りの試合運びを見せた広島広島は思い通りの試合運びを見せた。FW平繁のゴールのすぐあとにFWバレーのゴールで1点差に迫られたが、後半は攻撃的に出てきたG大阪の逆手を取ってカウンターが機能した。特に、G大阪がMF安田に代えてMF家長したことで4バックから3バックに変更してきたが、そのため広島のMF駒野がドフリーでボールを持てるようになった。
G大阪にボールを支配されたが、随所にカウンターも仕掛けて、シーズン中には見せられなかったしたたかで落ち着いた試合運びを見せた。
決勝はMF柏木が出場停止となるので代役をどうするかが問題だが、磐田・FC東京・G大阪と撃破し、勢いだけではない強さが感じられる。
■ 切れを取り戻す寿人広島は2トップのFW佐藤とFW平繁が1ゴールずつとしっかりと仕事を果たした。シーズン終盤にブレーキになっていたFWウェズレイがいなくなったことが幸いし、前線に動きが出てきているので、攻撃が行き詰ることが無くなった。
特にFW佐藤は、ゴール以外でも安定したボールキープで味方を攻め上がりを促し続けた。シーズン終盤は、2005年に代表に選ばれて以降は最大ともいえるスランプに陥ったが、ここにきて復調してきている。後半に1タッチでDFシジクレイをかわしてシュートを放ったシーンは秀逸で、怖さを取り戻した。
■ J2降格が生んだ決勝進出なぜ、広島が、リーグ戦でこのような戦いが出来なかったか?という疑問は誰もが感じることであるが、これが心理的な影響の大きいサッカーという競技の特性ゆえだろう。J1に残留するための戦力は十分に備わっていたが、一度、歯車が狂うと、突如として勝てなくなるということは、珍しい事ではない。
この決勝進出に関しては、J2に降格したからこそ達成できたものだとも考えられる。J2降格の悔しさや屈辱が、チームを結束させて戦う集団に育んだといえる。1年でJ1に復帰することは簡単では無いが、天皇杯での戦いが貴重な財産となるだろう。
ガンバ大阪:採点GK:藤ヶ谷 5.5
→ 彼の責任ではないが、3失点。
DF:加地 5.0
→ 切れはあったが、不用意なミスが多かった。
DF:山口 6.0
→ 落ち着いた対応を見せた。
DF:シジクレイ 5.5
→ ラストゲームを飾れなかった。
MF:橋本 5.5
→ 鋭い飛び出しを見せたが、精度を欠いた。
MF:明神 6.0
→ 正確なつなぎを見せた。
MF:遠藤 5.5
→ 無難な出来だったが、怖さを発揮できず。
MF:二川 6.0
→ 見事なアシスト。悪くない出来。
FW:バレー 5.5
→ 豪快なゴールも徹底マークに苦しんだ。
FW:播戸 5.0
→ 前線でなかなかキープできなかった。
サブ:寺田 5.5
→ 好調さを見せられず。
サブ:家長 5.5
→ ボールを持ったときは威力を発揮した。
サブ:前田 採点なし
→ コメントなし。