Jリーグ クラブ別大総括(9) セレッソ大阪編
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セレッソ大阪の2007年シーズンを振り返る。
■ スタートダッシュの失敗と監督交代
2006年のシーズンでJ1の17位に終わり、J2に降格したセレッソ大阪。主力だったFW大久保、FW西沢、MF下村らが移籍し、大幅な戦力ダウンを強いられた。新監督に就任した都並氏は、最初の14試合で4勝6敗3分の9位に低迷し、5月はじめに早くも解任された。
戦術が固まらず非常に厳しいスタートとなったが、都並前監督はFW柿谷やMF香川、MF中山といった10代の選手を積極的に起用し、半ば強引に世代交代を進めた。
■ クルピ監督のマジック
後任の監督にはクルピ氏が就任。すると、『クルピマジック』とも呼ばれた優れた手腕を発揮し、一気にJ1昇格レースに参入してきた。35節から41節まで6連勝を記録。絶望的だったJ1昇格への希望の灯をともした。
最終的には、結局、50節の草津戦と51節の水戸戦で勝ち点を伸ばせずに、J1昇格はならなかったが、どん底から大きな進歩を見せた。
■ センセーショナルを巻き起こした18歳
中でも、クルピ監督のもとで、左攻撃的MFでポジションをつかんだU-20代表の18歳のMF香川真司の活躍は鮮烈だった。
都並監督時代は、ボランチのポジションで起用されることもあったが、クルピ監督は、左の攻撃的MFに固定。すると、特出した攻撃センスが開花し、5ゴール8アシストと大暴れした。
圧倒的な運動量をベースに、切れ味鋭いドリブル突破とイマジネーション溢れるラストパスで多くのサポーターを魅了し、J2ではアンタッチャブルな存在となった。課題はシュート精度の低さで、今シーズンはGKとの1対1のシーンでシュートミスするケースが目立ったが、それも時間が解決する課題だろう。
第3クール以降の対戦相手のすべてが香川対策を施してきたが、有効な策は見つかっていない。Jリーグ史上、18歳の段階でチームの柱となった選手は、当時、浦和レッズに所属していた小野伸二しかいなかった。J2では、『王様』といえる眩いばかりの存在感を示した。そのひたむきなプレーは、新星セレッソの象徴であった。
■ 大きかったジェルマーノ加入
MF香川とともに終盤の躍進の原動力になったのは、クルピ監督の秘蔵っ子といえるMFジェルマーノである。シーズン途中に加入した左利きのボランチは、ハードワークと優雅なプレーが同居する稀有なプレースタイルで中盤を引き締めた。屈強なMFアレーとのダブルボランチコンビは補完性もあって、最高のペアとなった。
左足のパスだけでなく、セットプレーでの得点感覚にも優れており、ヘディングで2ゴールを奪っている。ボランチに人材を欠いたチームにあって、絶対の存在となった。
■ 驚きの柳沢の活躍
東京Vを戦力外となってオフに獲得した右サイドバックの柳沢の質の高いプレーも、チームを支えた。クルピ監督になってから、右サイドバックに固定されると、タイミングのいいオーバーラップと、質の高いクロスで攻撃の一翼を担った。
49節の福岡戦では、移籍後初ゴールをマークするなど、チームにとっては、無くてはならない存在となった。東京Vを戦力外になった選手が、新天地で輝いた。
■ 大黒柱の古橋
チームが降格し、移籍も噂された大黒柱の古橋だったが、J1復帰を目標にセレッソ残留を決断。リーグ戦では18ゴール9アシストをマークする大活躍を見せた。
前監督の塚田監督時代には攻撃的MFで起用されることも多かったが、クルピ監督は基本的には、古橋を2トップの一角で起用。リーグ終盤では、不振の小松や森島の穴を埋めて、ゴールを量産した。
右足のフリーキックの精度はJ2レベルを超えており、正確無比な右足のキックは驚異的で、直接ゴール以外でも多くのアシストを記録した。若い選手の多いチームにあって彼の存在は大きかった。
■ 小松塁のブレーク
エースの古橋と2トップを組んだのは、24歳のFW小松か20歳のFW森島である。ともに、Jリーグでの実績はほとんど無い選手であったが、小松はリーグ戦で12ゴール、森島は6ゴールと、一定の成績を残した。
187cmの小松の武器は、長身に似合わないスピードであり、ゴール前での落ち着きにも定評がある。シーズン中盤は、ゴールを量産し、快進撃の立役者となった。悔やまれるのは、第4クールに入ってコンディションを落とし、スタメンから外れることが多くなったことである。しかしながら、12ゴールは見事だった。スピードのあるドリブル突破は、J2の並みのディフェンダーでは、止められなかった。
■ 期待外れに終わった森島康仁
一方、五輪代表にも選出された森島も、6ゴールを挙げた。しかしながら、あくまでも小松に次ぐ、第2オプションの存在であり、レギュラーポジションはつかめなかった。豊富な運動量と左右両足から繰り出される強烈なシュートは魅力たっぷりだが、判断力に難があり、シュートセレクションに大きな課題を抱える。
世界的なフォワードになるためには、まずは所属チームで試合に出続けて、経験を積んでいかなければならない。終盤戦は、小松のコンディション不良で出番が回ってきたが、思うような結果は残せなかった。
■ 苦戦した未来のエース柿谷曜一朗
U-17のエースで将来を嘱望されるFW柿谷は、今シーズン、21試合に出場し2ゴール。2トップの一角や攻撃的MFで起用されて、潜在能力を感じさせる場面もあったが、判断力やフィジカルといった部分で、大きな壁を痛感させられるシーズンとなった。
昇格争いをしていた京都戦のゴールシーンなどは、彼のイマジネーションの豊富さを表しているが、そのイマジネーションが味方ともかみ合わないこともあって、常時、ベンチ入りもままならなかった。
ただ、まだ17歳であり、高校3年生に相当する年齢である。おそらく、来シーズンは、今シーズン以上に出番が回ってくると思われるので、しっかりと壁を乗り越えていってほしい。
■ 層の薄さ
リーグ終盤は、怪我人も増えて、満身創痍の状態だった。特に、左サイドバックのゼ・カルロスとボランチのアレーの離脱は大きく、草津戦と水戸戦で取りこぼしの要因となった。また、CBは、前田、江添、羽田の3人しか戦力とはいえず、攻撃陣は、若手の成長もあって非常に層が厚くなったが、守備陣の層の薄さは深刻だった。ボランチは、アレーが欠場の時にはセンターバックの羽田を持って来ざる得ない事態であった。
オフの課題は、主力の残留に務めるのはもちろんだが、守備的なポジションで活躍できる中堅あるいはベテランを獲得したい。そうすれば、シーズンを通して、安定した戦いができるだろう。
■ 「土台を築いて来シーズンにJ2優勝」
クルピ監督は、監督就任のとき、「今年末までに土台を作り、来年J2優勝を目指してほしいと言われている。」と話していた。今シーズンは、第3クール以降の驚異的な追い上げで昇格争いに食い込んだが、シーズン当初のつまづきが響いて昇格はならなかった。しかしながら、悲観する必要は無く、今シーズンは、とにかく土台を作るシーズンであり、勝負は来シーズンなのである。
FW古橋、DF前田、GK吉田といった中堅以上の選手については移籍の可能性も残るが、MF香川、FW森島康、FW柿谷といった若手選手については、チームに残留するのは間違いないだろう。彼は、まだまだ、J2でやり残したこと残っている。
とにかく、勝負は来シーズンである。今度は、失敗は許されないが、戦力を考えれば、昇格レースの大本命である。

■ セレッソ大阪(カテゴリー)
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07年 クラブ別大総括(4) 愛媛FC編
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□ Division1 クラブ別大総括
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