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【川崎F×浦和】 それでも負けないレッズ | | このエントリーを含むはてなブックマーク |

2007年11月12日
■ 優勝は目前

水曜日にACLの決勝を控える浦和レッズがアウェーの等々力で川崎フロンターレと対戦。前日の土曜日の試合で2位のG大阪と3位の鹿島がともに勝利したため、今節で優勝が決定する可能性はなくなったが、優勝に王手をかけるためにも、勝ち点を重ねたい。

対するホームの川崎フロンターレは、リーグ優勝の可能性はなくなっているが、同じアジアの舞台で戦ってきたライバルの浦和を相手に意地を見せたい。大サポーターに勝利をプレゼントしたい試合である。

川崎Fは、MF中村憲とMFマギヌンが出場停止で、FW我那覇も怪我で欠く苦しい布陣。<3−5−2>で、GK川島。DF伊藤・寺田・箕輪。MF森・河村・谷口・養父・黒津。ジュニーニョと鄭大世の2トップ。

アウェーの浦和は、過密日程ということもあってメンバーを落としてくることも考えられたが、オジェック監督は、いつものようにベストメンバーで試合に臨んできた。GK都築。DF坪井・闘莉王・堀之内。MF阿部・鈴木・長谷部・平川・ポンテ。2トップが永井とワシントン。阿部は、この試合も右のウイングバックに入り、FW田中達也はベンチスタートとなった。

■ 養父の初ゴール

試合は、立ち上がりは川崎Fが優勢。前半10分に、右サイドに流れたMF谷口のクロスに対して、中央に入り込んだMF養父が左足で押し込んで先制する。養父はJリーグ初ゴール。中村の出場停止で回ってきたチャンスをさっそく生かして、関塚監督の期待にこたえた。

先制された浦和だったが、前半32分にMF長谷部の突破からチャンスを作る。フィールド中央でボールを受けたMF長谷部がドリブルでペナルティエリア付近まで侵入すると、左足でクロス。そのクロスを受けたFWワシントンのプレーが川崎FのDF伊藤のファールを誘ってPKを獲得。そのPKをワシントンが自ら決めて同点に追いついた。

後半の途中からは、両チームとも中盤の運動量が落ちて、カウンターアタックの応酬となるが、浦和のGK都築と川崎FのGK川島が好プレーを見せてゴールは許さず、そのまま1対1で終了。浦和は、2位のG大阪との差を「5」に広げた。

■ 負けないレッズ

浦和は、先週の水曜日にイランに遠征して試合を行っており、過密日程で疲労はピークのはずだったが、不屈の精神で勝ち点1をもぎ取った。前線の運動量が不足し、流動的な攻撃は出来なかったが、その分、守備陣が奮闘した。

川崎FのエースFWジュニーニョに対しては、DF堀之内が中心となって徹底的にマークし、2人・3人で囲んでボールを奪取し、仕事をさせなかった。

川崎Fの司令塔中村憲がいなかったこともあって、ジュニーニョが下がり気味のポジションを取ったことも浦和には幸いした。

■ 阿部と鈴木

その中でも、MF鈴木啓太とMF阿部勇樹のプレーが素晴らしかった。彼らは、日本代表でもレギュラーで戦ってきており、シーズンを通してフル稼働の状態だが、持てる力を出し切って、ドローに貢献した。

MF阿部はなれない右サイドのポジションにも関わらず、持ち前の柔軟なプレースタイルを発揮。後半30分にピッチを去るときは、完全に足を引きずっており、立っていることもしんどいような状態だったと思われるが、気力で乗り切った。

オジェック監督は、過密日程になっても決してメンバーを落とさずに戦ってきて、ここまではリーグ戦もACLも優勝まで一歩手前まで来ている。その是非については、いろいろな意見もあるが、とにかくあと一息の段階まで近づいてきている。

■ ワシントンの愚行

両チームとも、持てる力を振り絞った好ゲームであったが、ワシントンの愚行については、全く擁護できない。

前半32分のPKのシーン(シミュレーション?)はともかく、試合中に再三にわたってレフェリーに対してクレームをつけて、挙句の果てに、終了間際に相手との接触プレーに苛立って、レフェリーの指示無しに自らピッチを去ってしまった。

ワシントンは、今シーズン、思うようなプレーが出来ていないことに対するイライラが原因なのか、指揮官のオジェック監督と何度も衝突を繰り返している。この日も、PKのキッカーをめぐって対立をしており、関係は修復不可能なところまで来ている。

リプレーを見る限り、確かに川崎Fの森の肘がワシントンの鼻に入っているようにも見えるが、森のプレーは全く故意とは思えず、プレー中にありうる許容範囲のプレーである。空回りの感も強く、ワシントンの態度は、全く許容できない。

■ プロフェッショナルに徹するレッズイレブン

このように選手と監督が対立している状況はチームにとって好ましくはなく、ACLの決勝に向かうチームのいいムードに水を差すのではないかという懸念もあるが、おそらく問題は無いだろう。

浦和の選手は、MF長谷部、MF阿部、MF鈴木ら、プロフェッショナルが揃っており、たとえグラウンド内外でいろいろな雑音があろうとも、それに動揺されてパフォーマンスが落ちるようなヤワな選手たちとは思えない。

「クールさ」と「熱さ」をうまい具合にコントロールできる選手が揃ってきており、06年から勝ち続けていることから生まれる勝者のメンタリティーを感じる。

かつてのイングランド代表のエースストライカーのゲーリー・リネカーが、「サッカーは11人同士で試合を行うが、最後に勝つのはいつもドイツだ。」という名言を残しているが、ことアジアの戦いに限定すれば、同じようなことがレッズにも当てはまるのではないだろうか。

どんなにコンディションが悪くても、どんなに試合内容が悪くても、最後にはレッズが試合をコントロールしているのである。

■ 戦術的な幅を広げるフロンターレ

一方の川崎Fは、試合内容では浦和を上回るプレーを見せた。大黒柱のMF中村憲剛とキーマンのMFマギヌンを欠く状況で、これだけの試合が出来たのは、チームに大きな自信を与えることだろう。

ACLの準決勝のセパハン戦に敗れて以降、川崎Fは4バックを試してみたり、MF河村をアンカーに置くトリプルボランチ気味の布陣を試してみたり、左ウイング的なポジションにスピードのあるFW久木野を配置するイレギュラーな布陣を試してみたり、いろいろな挑戦を行ってきているが、来シーズンに向けて、非常に面白い試みだと思う。

06年から07年の中盤戦までは、ほとんど<3−5−2>システムで、各ポジションにスペシャリストを配置するオーソドックスな戦法で試合を行ってきて、実際に結果も出ていたが、さらなる上を目指すためには、もっと柔軟に戦えるようにチームをバージョンアップさせる必要があった。リーグ制覇の可能性はなくなったが、ただの消化試合にすることなく、モチベーション高く試合に臨んでいて、少なくない成果を得ている。

■ 推進力を見せる谷口

その中でも、ここ最近は、MF谷口の充実振りが目に付く。

昨シーズン、ボランチのポジションながら13得点をマークし一気にブレークした谷口だが、今シーズンはやや不調。ACLに加えて五輪代表の活動も重なって調子を落としており、川崎Fでレギュラーポジションを失いかけた時期もあったが、ここにきて復調。持ち前の前に出る強さが、いかんなく発揮されている。

この試合は、ダブルボランチのパートナーが河村だったこともあって、谷口が主導権を握って思い切ったオーバーラップできたが、同じようなプレーを中村憲剛と組んだときでも披露できれば面白いし、攻撃の幅が広がるだろう。

■ 新しい戦力となるか養父

また、新人のMF養父がJリーグ初ゴール。大きな舞台で大きな仕事をした。これまでは、中村憲やマギヌンが不在のときは、大橋が起用されることが多かったが、ここ最近の大橋は低調ということもあって、ルーキーを抜擢し、見事なプレーを見せた。

基本的にはパサーに分類される選手だと思われるが、確かに面白いアイディアを持っており、この試合でもいくつか光るパスを繰り出して、浦和のDFをあわてさせた。

もちろん、マギヌンや中村憲と比べるとまだまだだ不足する部分もあるが、運動量や守備意識も備わっているようで、川崎Fの高度な中盤に入っても、見劣りすることは無い。来シーズンに向けて、面白い存在になるかもしれない。


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