■ 天皇杯4回戦冬の風物詩の天皇杯。4回戦からJ1勢が登場。現在、JFLで首位を独走する佐川急便(滋賀県守山市)が横浜Fマリノスの本拠地三ツ沢に乗り込んだ。
佐川急便サッカークラブは滋賀県守山市を本拠地とする実業団サッカークラブで、1991年に佐川急便東京支社のサッカー同好会して設立した佐川急便東京サッカー部と1965年に北摂蹴球団として設立した佐川急便大阪サッカー部が、2007年に合併した新興チーム。
JFLの1つ上のカテゴリーとなるJ2に昇格のためには、JFLで4位以内に入ることとJリーグの準会員に任命されることが条件であるが、佐川急便は準会員ではないので来シーズンのJリーグ昇格の可能性は無いが、実力的にはアマチュア最強であり、すでにJ2でも中位程度の実力は備わっているのではないかとも考えられている。横浜FMとしては、難しい相手である。
■ 佐川急便の攻勢試合は、立ち上がりから佐川急便のシンプルでスピーディーな攻撃が横浜FMをあわてさせる。前半10分過ぎには、FW御給のパスから決定的なチャンスを作るが、DF松田のタックルはノーファールでPKとはならず。
しかし、横浜FMも前半20分にMF山瀬功のパスからDF小宮山が決定的なシュートを放つが、GK正面。その直後の前半22分に、ゴールやや右からのFKを、横浜FMのMF狩野が鮮やかに決めて先制する。
先制ゴールを奪われてやや意気消沈した佐川急便だったが、前半 に右FKからFW御給が頭で合わせて同点に追いつく。御給がJFLで29試合で27得点と得点ランキングを独走する実力を見せ付けた。
■ 実力差を見せた後半後半から、横浜FMはMF清水とFW坂田を投入。すると、後半7分にMF清水がフリーで相手DFの裏に飛び出してシュート。そのこぼれ球をゴール前のFW坂田が押し込んで勝ち越すと、さらに後半8分にも、MF狩野の飛び出しからFW大島が決めて3点目を挙げる。
後半10分に、佐川急便はスーパーサブの竹谷を投入。御給とのツインタワーで同点ゴールを狙いにくるが、FW坂田にゴールを許して1対4で終了。横浜FMが5回戦に進んだ。
■ 小宮山の対応に手を焼く佐川急便の出来は申し分なかったが、守備では横浜FMの左サイドバックの小宮山への対応に苦労した。
おそらく、JFLでは実力的に図抜けているので、相手チームのサイドバックが攻撃に参加してくるケースは稀なのだろうが、格上のチームと対戦すると、そうはいかず、リスクを背負って攻め込んでくる相手にどう対応すればいいのかの経験が少なかったのだろう。
また、後半は、FW坂田とMF清水のフリーランニングに苦しんだ。1対1であれば何とか対応できるが、走力を生かした攻めをされると、対応が難しかった。佐川急便としては、非常にいい経験になったのではないだろうか。
■ 浮上の兆し格下のチームを相手にすると、どうしてもグダグダの試合になりがちだが、横浜FMの試合内容は総じてよかった。佐川急便のDF組織にやや難があったのは事実だが、後半の得点はいずれも完璧に相手DFを崩してのきれいなゴールだった。
リーグ戦では中位が決定し、残すタイトルは天皇杯のみである。全力で天皇杯を取りにいくのも、悪くない。
■ 貴重な経験をした佐川急便最終スコアは、1対4。JFL首位の佐川急便であったが、やはり最後には、実力差を見せられた。
ただ、まったく悲観する必要は無く、前半は自分たちのサッカーを貫いて、試合を優勢に進めることに成功した。J1を相手に、自分たちのサッカーをして、通用する部分と通用しない部分が見えたのは、大きな財産になるだろう。
今後、Jリーグ入りを目指すのかどうかは分からないが、実力的には申し分なく、もう少し、地域に認知されて盛り上がっていければ、相当なチームが出来そうである。滋賀県出身のJリーガーというと、DF井原正巳やMF中田浩二らが日本代表で活躍し、MF倉貫一毅、FW矢島卓郎、FW青木孝太、MF乾貴史らも存在感を発揮している。
野洲高校出身者を中心にして、若い才能が続々と生まれてきているので、この芽を積むことなく、佐川急便には、滋賀県のサッカーのシンボルとなってほしいものである。
■ エースの御給中でも存在感を発揮したのは、佐川急便のセンターフォワードの御給。JFL最高のストライカーという評判どおりに、日本代表クラスのDFを相手にすばらしいプレーを見せた。ゴールも見事だったが、それ以上に正確なポストプレーで味方を生かすプレーが光った。
187cmという体格を生かしたプレーは、迫力満点で、足元も柔軟。確かに、このプレーをされたら、JFLのDFは対応できないだろうなと思わせるに十分だった。
御給としては、再び、Jリーグでプレーしたいというモチベーションを持っているだろうが、この日のような自信満々のプレーができれば、J2はもちろん、J1でも通用するのではないだろうか。
■ 天皇杯の改善点双方に持ち味を発揮した好試合になったが、1つ残念に思うことで、日本サッカー協会に改善してほしい点があるとすれば、この試合が横浜Fマリノスのホームの三ツ沢で行われたことである。当然、横浜FMがシードであるので無難な選択ではあるが、どうせなら、佐川急便のホームである滋賀県の守山市で試合を行ってほしかった。
もちろん、佐川急便が4回戦まで勝ち進むかどうかは、直前になるまで分からないので、会場を押さえておく必要があるため、早期に敗退すればリスクを負うことになるが、佐川急便がホームの守山に横浜Fマリノスを迎えて試合が出来れば、地元民に対して多大なアピールになっただろう。それは、4回戦でJ1チームに挑戦したすべてのチームにも当てはまることである。
どうせ、J1のチームが格下のチームを相手にホームゲームを戦ったところで、スタンドが埋まらないのは目に見えている。FAカップは、確か、下のカテゴリーのチームの本拠地で試合を行っているはずである。せっかくのいい機会であるのだから、何とかならないものだろうか?
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