【千葉×浦和】 阿部勇樹の帰還  | | このエントリーを含むはてなブックマーク |

■ 連勝中対決

6連勝中のジェフ千葉がホームのフクアリに首位の浦和レッズを迎えたJ1第29節のビッグカード。

千葉は、五輪予選で怪我をしたMF水野が欠場したが、MF羽生が怪我から復帰して右サイドに入った。GK立石。DF斉藤・中島・水本。MF佐藤・下村・羽生・工藤・山岸。2トップで新居と巻。

対する浦和も4連勝中。<3−5−2>で、GK都築。DF阿部・闘莉王・ネネ。MF山田・平川・鈴木・長谷部・ポンテ。FWワシントンと田中。FW永井は出場停止である。

■ ワシントンの2ゴール

試合は、立ち上がりは浦和が圧力をかけて押し込む。

前半28分に右サイドに流れたMF長谷部のグラウンダーのクロスを中央のFWワシントンが押し込んで先制。さらに、前半38分にも、右サイドでフリーになったMFポンテのクロスをFWワシントンがヘディングで決めて追加点を挙げる。

千葉は先制点を失う直前に、MF佐藤勇人がゴール前でフリーになってシュートを放つシーンがあったが、GKの正面をついてセーブされたのが痛かった。前半はそのまま、2対0で終了した。

■ ワシントン砲の威力

浦和は、FWワシントンが前半のみの出場で2ゴールの活躍。

1点目は相手DFを半身でブロックしながらクロスをネットに押し込んだ得意の形であり、2点目は驚異的な打点の高さから繰り出されたファインゴールだった。

ワシントンについては、ここ数日の間、「今シーズン限りで退団するのではないか?」という報道がなされた。今シーズンは、オジェック監督との確執もあって本来のパフォーマンスは見せられておらず、浦和はワシントンの代わりに、川崎Fのジュニーニョや新潟のエジミウソン、東京Vのフッキの獲得を検討しているという話も伝わってきている。昨シーズンの得点王のワシントンであるが、随分とその評価は下がり気味であったが、ここにきて、圧倒的な存在感を見せ付けた。

退団後はブラジルに帰国する可能性が高いようだが、振り返ってみると、ワシントンほど「強さ」をもったストライカーは、Jリーグの歴史を振り返ってみても誰もいなかったのではないだろうか?強靭な体格でありながら大きな体をもてあますことなく、最大限に利用してゴールを奪う姿は、日本の大型フォワードに是非とも学んで欲しい部分である。

■ 千葉の猛烈な追い上げ

そのFWワシントンは、2点目のシーンでDF水本と衝突して出血。前半だけで退いてFW小池が代役で入る。2点を追う千葉も、FWレイナウドとMF楽山を投入し、流れを変えようとする。しかしながら、大勢は変わらず、後半4分に、MF長谷部のパスを受けたMFポンテが決めて3対0とリードを広げた。

これで、浦和の一方的な展開になるかと思われたが、この後、浦和はMF鈴木やFW田中が決定的なシュートを決められず、千葉に猛反撃を食らう。

千葉は、前半で不調だったFW新居に代えて投入したFWレイナウドが基点になって、リズムをつかみ始めると、後半9分にそのFWレイナウドが決めて1点を返すと、さらに後半32分にも、MF羽生のミドルシュートが決まって1点差に迫った。

そして、そのすぐあとのプレーで、MF中島からのパスを受けたMF山岸のシュートがネットを揺らして同点ゴール!!!かと思われたが、惜しくもオフサイドの判定。浦和は、DF堀之内とDF坪井を投入し、完全に逃げ切り体制に入る。そして、ロスタイムに、左サイドを抜け出したMF長谷部のパスをFW田中が押し込んで、4対2と突き放す。結局、浦和が苦しみながらも勝利し、連勝を5に伸ばした。

■ 僅差となった達也の不振

浦和は楽勝ペースだったが、FWワシントンの怪我というアクシデントと、再三の決定機を決められないシュート精度の低さで、よもやの苦しい展開となった。特にFW田中達也が大ブレーキとなってしまった。

田中は、ドリブルの切れ味は十分で、多くのチャンスを生み出すことの出来る選手ではあるが、決定力に難があり、シュートミスも多い。日本代表に定着するためには、シュート精度を高めたいところである。

このあたり、チームメートでもあるFWワシントンやMFポンテといったブラジル出身の選手は、したたかで少ないチャンスをしっかりとものにすることが出来る技術をもつ。単純には比較は出来ないが、日本とブラジルの差を見た気がした。

■ 長谷部の3アシスト

浦和は、FWワシントンとMFポンテの活躍も光ったが、何と言っても、3アシストをマークしたMF長谷部のプレーが輝いていた。左右のスペースに頻繁に飛び出していって、決定的な仕事を3度。長谷部が攻撃面で、これだけの仕事をしたのは久しぶりだろう。

ここ最近はボランチでプレーし消極的で無難なプレーを選択することが多く、日本代表からも外れているが、本来の長谷部は、ボランチの位置からでもドリブルでボールを運んで決定的な仕事の出来る選手である。チーム事情もあるので安易には批判は出来ないが、長谷部のプレーには失望させられることが多かっただけに、この日のパフォーマンスは驚かされた。

ボクは、長谷部は、現時点でも日本代表の10番を背負うだけのポテンシャルを秘めていると思う。この試合のようなアグレッシブなプレーを続けていって欲しいところである。

確かに、これまでも守備面での貢献度は低くなかったが、その仕事は、長谷部にしか出来ない仕事ではない。海外移籍も噂されているが、自分の良さであるドリブルやパスといった攻撃的な部分で、毎試合のように光るプレーを見せて欲しい。

■ レイナウドの魔術

千葉は、後半開始から投入されたFWレイナウドが素晴らしいパフォーマンスを見せた。スタメンで出場したFW新居のパフォーマンスが極端に悪く、ボールを収められていなかったが、レイナウドが入って一変した。

レイナウドには巻のようなタフさは無く、良くも悪くもマイペースな選手であるが、足元の技術と瞬間のヒラメキには秀でたものをもつ。ボールも保持できるし、ドリブルで突破することも出来るし、味方を生かすパスを出すことも出来る。多彩な選手である。

2トップを採用する千葉には、巻・新居・レイナウド・青木と4人のタイプの異なるフォワードが存在するが、うまく使い分けていくと効果を発揮するだろう。

■ 見せたホームの意地

千葉は、相手のミスにも助けられたとはいえ、0対3の状況から1点差に追い上げて、大いに観衆を沸かせた。同点ゴールかと思われたMF山岸のシュートシーンのオフサイド判定は微妙であったが、ともかく、試合を投げ出すことなく追い上げた姿勢は評価したい。

切り札であるMF水野を欠いたことで、攻撃のバリエーションが無くなって、息詰まることもあったが、豊富な運動量をベースに人数をかけてシンプルにボールを回して相手DFを崩していくサッカーは、ようやくチームに浸透してきていて、6連勝がフロックではないことを証明した。

■ 阿部勇樹の帰還

さて、この試合で一番の注目を集めたのは、昨シーズンまでジェフ千葉の中心選手だった阿部勇樹が赤いユニフォームを着て、フクアリに帰ってきたことである。フクアリの観衆は、阿部をブーイングで迎えたという話である。

試合中の阿部は、3バックの一角としていつもどおりの安定したプレーを見せた。むしろ、「阿部の後継者」という位置づけをされることの多い、千葉のMF下村東美の方が阿部を意識していたようで、普段の的確な判断が出来ていなかったような印象を受けた。

特に目立った活躍も無く、絶好のチャンスであった直接FKの場面もワシントンに譲ってしまうなど、いつものように阿部は淡々とプレーした。それも、実に、阿部勇樹らしかったといえる。

■ 浸透しつつあるジェフ

この試合で、フクアリは大入り満員となった。人気の浦和レッズ戦だったという側面もあるが、観衆の多くは黄色のサポーターであり、ホームチームの奮闘に声援を送った。

ジェフというチームは、Jリーグの「オリジナル10」のメンバーであるが、当時から、人気面ではいまひとつで、市原臨海競技場に集まる平均観客数はリーグでも最低レベルであった。しかしながら、イビチャ・オシムが監督が就任し、さらには、2005年にフクアリが完成したことも手伝って、スタジアムには、いつも多くの観衆が集まるようになった。

ジェフ千葉は、「阿部勇樹」というシンボル的な存在を失ったが、それでも、まだ、これだけ魅力的な選手をそろえている。そのことを改めて感じた。




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2007/10/20 浦和レッズ トラックバック:0 コメント:0














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