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【甲府×広島】 ドラマチックゲーム | | このエントリーを含むはてなブックマーク |

■ 5連敗中の甲府

17位のヴァンフォーレ甲府が、ホームの小瀬で、サンフレッチェ広島と対戦。大宮アルディージャと激しい残留争いを繰り広げる甲府としては、調子の下降気味の広島は、勝ち点3をとりたい相手である。

甲府は、<4−4−2>。GK阿部。DF杉山・増島・秋本・井上。MF林・藤田・石原・宇留野。FW茂原・アルベルト。ラドンチッチと須藤の2トップから、茂原とアルベルトの2トップに変更してきた。

サンフレッチェ広島は、<3−5−2>。GK下田。DFストヤノフ・戸田・森崎和。MF青山・森崎浩・駒野・服部・柏木。FWウェズレイと佐藤。いつもの青山の1ボランチではなく、青山と森崎浩のダブルボランチでスタート。

■ 対照的な展開

試合は、立ち上がりから甲府がショートパス主体に攻め込み、広島がロングパスを効果的に使って攻撃を組み立てる対照的な展開を見せる。

勢いは甲府だったが、広島がしたたかに先制。前半21分に、駒野の右クロスからゴール前の柏木が触って、そのボールにつめたMF服部が決めて先制。広島が、得意の展開から貴重な先制点を奪う。

甲府は、CKから何度かチャンスを作るが、なかなか、流れの中からシュートチャンスをつかめずに、前半を終えた。

■ 絶対に負けられない

前半は、甲府がボールを支配しているものの、全体的には、むしろ広島の流れで、広島がやや優勢だったが、後半に入ると、甲府が、豊富な運動量と積極的な守備をベースに主導権を奪う。

後半11分に、甲府が、藤田のCKから、DF増嶋が合わせて同点に追いつく。増嶋が得意の形から、同点ゴールを奪った。

追いつかれた広島は、ここから、ギアを一段高めて、分厚い攻めを見せるようになる。対する甲府も、逆転を狙って、左サイドの茂原を基点に、攻撃的に戦って、非常に見ごたえのある展開となった。

■ アルベルトの劇的なゴール

しかしながら、両チームとも、ネットを揺らすまでには至らず、このまま、1対1で終了かと思われたが、試合終了間際に、ドラマチックな展開が待っていた。

後半44分、甲府が、須藤→茂原→アルベルトとつないで、FWアルベルトが逆転ゴール。バレーの代役として、大きな期待を背負いながら、まったく期待に応えられずにいた助っ人のアルベルトが、甲府を救うヒーローとなった。

アルベルトは、ここまで、1ゴールのみ。この試合も、動きは悪くなかったが、ゴールに直結する動きは少なく、いつ交代をさせられてもおかしくなかったが、アルベルトを信じ続けた大木監督の思いが、貴重なゴールを呼び込んだ。

残留争いをする甲府だが、連敗中でも、開幕から貫いてきた「ショートパスをつなぐ」という自分たちのスタイルを決して代えようとはしなかった。甲府のサッカーが、効率的かというと、首を傾げざる得ないし、また、そのスタイルには賛否両論はある。だが、決してスタイルを曲げなかったことが、この試合の美しく、感動的なゴールに結びついた。

アルベルトのゴールまでに至る過程は、実にヴァンフォーレらしかった。

■ 開花する増嶋

甲府では、CBの増嶋が、前節の清水戦に続いて出色の出来で、MOM級の働きを見せた。怪我のため、後半途中に池端と交代したが、貴重な同点ゴールをマークし、守備でも、大貢献した。

同点のゴールは、得意の形。今シーズンはDFながら、すでに4点をマークしており、得点センスは、並外れている。際立つ高さがあるわけではないが、セットプレーから勇気を持ってゴール前に飛び込むことができる点が、最大の魅力である。

もちろん、得点も見事だったが、それ以上に目立ったのは、守備面での成長。FC東京時代から、能力は評価されてきたが、集中力の欠如やソフトな守備で、失点に絡むことが多かった。しかしながら、甲府に移籍して、タフな試合を続けてきたからか、ここにきて、守備面で、大きくスケールアップしたという印象をもつ。

もともと、カバーリング能力には定評があった選手だが、対人の強さが見られるようになって、別人のようなハードなプレーを見せている。前節では、清水のFWチョ・ジェジンをシャットアウトし、この試合でも、ウェズレイにまったく仕事をさせなかった。彼の素質が、ついに、開花しつつある。

■ 藤田健に求めたい1ランク上のプレー

甲府は、林の1ボランチで、宇留野をトップ下に起用。藤田と石原が、サイドに開くダイヤモンド型の布陣でスタート。激しいプレスからボールを奪って、攻撃につなぐことに成功したが、得点シーンのように、見事につながるシーンもあったが、パスをつなぐものの、結局、最後に行き詰って、ボールを奪われるシーンも目立った。

この部分を改善するためには、MF藤田健の活躍が不可欠であり、彼には、もう1ランク上のプレーを求めて、状況を打開して欲しいと思う。よく動いてボールを引き出して、多くの場面で起点になったが、ドリブルをするにしても、パスをするにしても、やや思い切りが悪く、無難なプレーを選択する事が目に付く。

藤田は、甲府の10番であり、もっとチャレンジをしていいし、実際に、それだけの才能を持っている。

■ ストヤノフの状況

広島は、いい形で先制ゴールを奪い、前半は、鋭いカウンターからチャンスを作ったが、後半は、甲府の運動量と気迫の前に、押され気味の展開となった。チャンスがなかったわけではないが、1ボランチにしたことで、いつもよりも、チャンスのときに、ゴール前に人数をかけられなかった。

ただ、千葉から獲得したDFストヤノフが、フル出場し、まずまずのプレーを見せたことは、収穫だった。コンディションの不良もあって、精彩を欠く試合が多かったストヤノフだが、この試合は、鋭い読みと効果的な攻撃参加で、DFリーダーとしての存在感を示した。ストヤノフに対する期待値は高いだけに、まだまだこんなものじゃないという感じもするが、なじんできていることは間違いない。

■ 止まらない柏木

攻撃では、2トップになかなかボールが入らずに苦戦したが、トップ下の柏木が、縦横無尽に動いて、ボールを引き出したり、組み立てたりと、高い貢献を見せた。なかなか90分間、スタミナが続かない試合が多かっただけに、最後まで、動きが落ちなかった点は、特筆すべき点である。

広島は、資金的に恵まれているチームではなく、選手層は厚くない。したがって、使える駒も限られていて、簡単に、よそのチームから選手を引っ張り込んでくることは出来ない。したがって、自前で選手を育てて、強化していくしかない。

勝敗のためには、最強2トップを生かすトップ下のポジションで、柏木が、どれだけのプレーが出来るかがポイントになってくることが多いが、実際の話、現段階で、J1のトップレベルのプレーヤーと柏木を比較すると、物足りない部分も少なくない。だが、それでも、順調に成長を遂げている。

広島というチームがステップアップのためには、柏木のさらなる成長を待つしかない。彼が、もっと試合を支配して、ゴールを決めて、アシストをマーク出来る選手になれれば、広島は、上位争いも可能だろう。だが、現時点では、そこまで要求するのは、酷である。

それでも、未来のある選手であり、温かく見守りながら、成長を待つだけの価値がある選手である。それは、この試合でも、証明した。



ヴァンフォーレ甲府:採点

GK:阿部 6.0

 → 好セーブで流れをつかむ。

DF:杉山 5.5

 → パスカットが多く、積極的だった。

DF:秋本 6.0

 → 高さと強さは、申し分なし。

DF:増嶋 7.0

 → 攻守に存在感。貴重な同点ゴール。

DF:井上 6.0

 → ロスタイムに退場になったが、攻守に高い貢献。

MF:林 5.5

 → ややキレはなかったが、キープはさすが。

MF:藤田 6.0

 → 悪くはなかったが、恐さもなかった。

MF:石原 5.5

 → 気迫の突進で、流れを呼び込む。

MF:宇留野 5.5

 → 前節よりは良かったが、決定的な仕事は出来なかった。

FW:アルベルト 7.0

 → 値千金のゴール。切れもあった。

FW:茂原 6.0

 → 復調気配だが、次節以降の2試合の出場停止は痛い。

サブ:池端 採点なし。

 → 緊急出場。

サブ:須藤 6.0

 → 逆転ゴールの基点。気迫十分。

サブ:木村 採点なし。

 → 高卒ルーキー。2試合連続出場。



サンフレッチェ広島:採点

GK:下田 5.0

 → キックが不安定すぎた。

DF:森崎和 5.5

 → うまく対応していた。

DF:ストヤノフ 6.0

 → 徐々にフィットしてきている。

DF:戸田 5.5

 → 落ち着いてつないでいた。悪くない。

MF:青山:5.5

 → 1ボランチの方が、持ち味が出そう。

MF:森崎浩 5.0

 → 存在感を見せられなかった。

MF:駒野 6.0

 → 運動量はあった。疲れの影響は見せなかった。

MF:服部 6.0

 → 見事なゴール。

MF:柏木 6.5

 → 最後まで、動きが落ちなかった。

FW:ウェズレイ 5.0

 → キレはなかったが、セットプレーでの恐さはいつもどおり。

FW:佐藤 5.0

 → やや精彩を欠いた。



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