【浦和×FC東京】 近未来風なレッズサッカー
|
|
|

■ 首位の浦和レッズ
前節、首位に返り咲いた浦和レッズが、ホームのさいたまスタジアムに、3連敗スタートとなったFC東京を迎えたJ1第22節。
浦和は、<3−5−2>。GK都築。堀之内・闘莉王・阿部の3バックで、鈴木・長谷部のダブルボランチ。右ウイングバックに山田、左ウイングバックに平川。トップ下にポンテが入り、田中達也と永井の2トップ。
対するFC東京は、<4−4−2>。GK塩田。徳永・今野・藤山・金沢の4バック。浅利・梶山・石川・リチェーリの中盤で、ルーカスと赤嶺の2トップ。ルーカスは1.5列目的なポジション。
■ FC東京の攻勢
試合は、立ち上がりから、アウェーながら、FC東京が積極的なプレーで、浦和を慌てさせる。前半32分には、MFリチェーリのシュート気味のクロスを、ゴール前のFW赤嶺が押し込んで、先制する。
しかしながら、前半36分にと前半39分に、ともに、左サイドの平川のアシストで、FW田中とDF堀之内がゴールを決めて、浦和が2対1と逆転に成功する。
FC東京は、後半11分にFW平山を投入し勝負に出るが、その直後に、浦和のMFポンテにフリーでシュートを放たれて、3点目を許す。それでも、まったく気落ちすることはなく、後半24分にDF今野のゴールで1点差に迫り、さらには、平山やルーカスが決定機をむかえるがシュートが枠を捉えきれず、同点までは至らなかった。結局、浦和が3対2で勝利し、首位を守るとともに、G大阪との勝ち点差を「4」に広げた。
■ 興味深いレッズのサッカー
浦和は、FWワシントン、MF小野、MF相馬といった前半戦でレギュラー核だった選手が、怪我などの影響もあってスタメンから外れており、その影響も懸念されたが、まったくもって、その不在の穴は感じさせなかった。むしろ、彼らがいたときと比べて、攻守両面で質が高く、興味深いサッカーを見せた。
目立つのは、後方の選手の機を見た果敢なオーバーラップ。典型的なのは、2点目のDF堀之内のヘディングゴールであるが、セットプレーでもない限り、あのようなシーンで3バックのストッパーの選手がゴール前に位置することは常識では考えにくく、FC東京はマークし切れなかった。
闘莉王が前線まで上がっていって、ヘディングでゴールを狙うことはこれまでも、よく見られたものであるが、堀之内や阿部といった選手も、たびたび、ゴール前に進入していって、攻撃に厚みを加えた。
■ 近未来風なサッカー
「流れの中で、センターバックの選手が前線まで飛び出していって、攻撃に参加する」というシーンは、バランスを重視する現代サッカーにおいては、かなり異質なものである。だが、今後、ますます、攻撃のチームに与えられる「時間」と「スペース」が限られていくと想像される状況では、このポジションの選手の攻撃参加は、必然なものになっていくと思われる。守っているだけのDFは、次第に居場所を失っていくことだろう。
「全員攻撃・全員守備」を理想としたヨハン・クライフのサッカーが出現したのは、30年前だが、右ウイングバックの山田が最終ラインにスライドし、場面によっては、最終ラインに本職のDFの選手が1人もいないという状況にまで刻々と変化を見せる浦和のサッカーは、近未来のサッカーを先取りした、新しいサッカーといえるかもしれない。
■ 鈴木と阿部の存在
DFラインの選手がオーバーラップすると、普通は、バランスが崩れてしまうものだが、浦和が、まったく、バランスが崩れない。そして、実際には、かなりのリスクを冒しているのだが、リスクを冒しているという感覚はそれほどなく、むしろ、自然な対処ができている。
その理由は、やはり、ボランチの鈴木とCBの阿部という2人の存在に他ならない。これは、テレビ画面だけからは分かりにくく、体感するのであれば、スタジアムで試合を観るのが、一番、手っ取り早いと思うが、彼らは、ディフェンスのときに「危険なエリアを察知する感覚」に格段に優れており、また、高い守備能力で、少々の守備のアンバランスも、包み隠してしまうほどの、飽和力をもつ。
「前もって準備することで、イレギュラーな状況を作らないこと」が最優先だが、たとえ、イレギュラーな状態が生まれたとしても、それをカバーすることができる。このチームは、チーム全体のリカバリー能力が極端に高いと感じる。
問題は、ワシントンや小野、相馬が帰ってきたときに、どうするかである。基本的に、オジェック監督のサッカー哲学というものは、なかなか見えず、「近未来風なサッカー」も、やや偶発的な部分から生まれたものだと考えるのが自然であるが、それでも、ここまで機能すると、壊してしまうのは、もったいないというほかない。
■ 左サイドを切り裂く平川
ここ最近、オシム監督が、メディアに対して頻繁に名前を出したことで、大きな注目を集めている浦和の左ウイングバックの平川は、この試合でも2アシストをマークし、勝利の立役者となった。
この日の活躍が、「オシム効果」かどうかは確認しようもないが、それでも、代表経験がまったくない選手にとって、現在の代表監督に自分の名前を出されて賞賛されるということに対しては、悪い気はしないだろうし、試合に向けて、モチベーションがアップすることは容易に想像できる。
■ 梶山陽平に対する批判
FC東京は、敗れはしたものの、MF梶山のプレーが非常に良かった。ここ数試合は、明らかに、苦しんでいたが、この試合では、攻守ともに積極的で、危険なプレーを続けた。
原監督は、梶山に対して、「ジダン」ではなく「ランパード」になって欲しいと語っているが、確かに、1・2年前と比べて、運動量や守備面でのハードワークを行う場面が多くなって、かつての淡白なイメージは、なくなりつつある。
それでも、多くの批判を浴びるのは、五輪代表の10番であり、それだけ期待の裏返しであるとも思われるが、とにかく、五輪代表での梶山のプレーだけを見て、「梶山陽平」を批判している人は、FC東京でのプレーも、じっくりと見てから、評価して欲しい。そうでなければ、その批判も、十分な説得力を持たない。
人気ブログランキングに参加しています。「この記事が面白かった。」というときは、クリックをお願いいたします。↓

