■ 残留争いの大一番 J1の2ndステージの第14節。7勝12敗11分けで勝ち点「32」のジュビロ磐田はホームのヤマハスタジアムでアルビレックス新潟と対戦した。新潟は7勝17敗6分けで勝ち点「27」。磐田は13位、新潟は15位と共に残留争いに巻き込まれている。16位の名古屋は勝ち点「26」。磐田と名古屋の差は「6」、新潟と名古屋の差は「1」。名古屋 vs 福岡は14時キックオフ、磐田 vs 新潟は15時キックオフとなった。
ホームの磐田は「4-2-3-1」。GKカミンスキー。DF山本康、櫻内、森下俊、中村太。MF上田康、宮崎智、太田吉、川辺、アダイウトン。FWジェイ。2試合連続で4バックを採用。右SBが本職となるDF櫻内がCBに回って、中盤が本職となるDF山本康が右SBでプレーすることになった。元日本代表のMF松井大はベンチスタート。MF川辺がトップ下に入った。FWジェイはここまでチーム最多となる12ゴールを挙げている。
対するアウェイの新潟は「4-2-2-2」。GK守田。DF松原健、舞行龍ジェームズ、西村竜、コルテース。MF小林裕、レオ・シルバ、加藤大、成岡。FWラファエル・シルバ、指宿。吉田監督が退任して片渕監督が就任して最初の試合となるが出場機会に恵まれなかったMF加藤大やFW指宿をスタメンに抜擢。システムも3バックから4バックに変更してきた。MF野津田やFW鈴木武蔵やMF山崎亮などがベンチスタートとなった。
■ 大一番を制したのはアウェイのアルビレックス新潟 残留争いの行方を左右する大一番だったが前半20分にFW指宿のポストプレーからうまくすり抜けてキーパーと1対1の場面を作ったMF加藤大が後ろから倒されて新潟がPKを獲得。これを大黒柱のMFレオ・シルバが落ち着いて決めてアウェイの新潟が先制に成功する。1点を追う磐田は前半38分にFKを獲得するとMF上田康がゴール前に上げたボールをFWジェイが頭で合わせて1対1の同点に追いついた。
試合は1対1のままで終盤戦を迎える。後半開始の時点で「名古屋がホームで福岡に5対0で勝利した。」という情報が入ってきたが新潟は引き分け以下に終わると名古屋に抜かれてしまう。降格圏転落の可能性が出てきた新潟は後半20分にMF山崎亮、後半27分にFW鈴木武蔵を投入。「引き分けでもOK」という微妙な心理状態の磐田を尻目に後半30分以降はドリブルでの仕掛けからチャンスを作っていく。
新潟が3度ほど決定機を作ったがGKカミンスキーの活躍で決められず。このまま終わるかと思われた後半44分に途中出場のFW鈴木武蔵のクロスから古巣対決となるMF山崎亮が値千金のヘディングシュートを決めて土壇場で新潟が2対1と勝ち越しに成功した。結局、2対1でアウェイの新潟が勝利。片渕監督は初陣を勝利で飾った。一方の磐田は4試合勝ちなし。新潟との差は「2」、名古屋との差は「3」となった。
■ 初陣を勝利で飾った片渕監督 15節が浦和戦(H)、16節がG大阪戦(A)、17節が広島戦(H)となる新潟にとって14節の磐田戦(A)は「Must winの試合」だったが劇的な勝利を飾った。16時半キックオフの甲府 vs 横浜FMは4対0でアウェイの横浜FMが大勝したので新潟は14位に浮上した。下位との対戦が残っている名古屋や甲府に対して上位との対戦を残している新潟が対戦カード的にはかなり厳しかったが、とてつもなく大きな勝利となった。
片渕監督が就任して最初の試合だったが印象としては原点回帰。「柳下監督時代に結果を残したスタイルに戻して来た。」と言えるのではないか。当時はハイプレスが最大の武器で奪ったボールを素早くつないで畳みかけるサッカーで結果を残したが、いいプレスをかけてボールを奪って2トップを中心にスピーディーな攻撃を仕掛ける場面がたくさんあった。残りは3試合となったが可能性を感じさせるサッカーを見せた。
中でもFW指宿が前半から抜群の存在感を発揮した。吉田監督時代は結果を出せずに出場時間も徐々に少なくなっていたが片渕監督はフォワードの軸として起用。一種の賭けだったが前線でうまくボールをおさめて起点になった。前半20分にPKを獲得したシーンも中央のFW指宿のプレーがきっかけだった。自身のシュートチャンスはなかったが前線の起点として期待通りか、それ以上の活躍を見せたと言える。
1対1で終盤を迎えたが選手交代が明暗を分けた。流れがあまり良くない中、スタメン11人を引っ張った磐田の名波監督に対して片渕監督は攻撃的なカードを次々に投入してきた。もちろん、勝たなければいけない新潟に対して磐田はドローでもOKという立場だったので置かれている状況は大きく異なったが、キレキレのドリブルを見せたMF山崎亮、ダイナミックなプレーを見せたFW鈴木武蔵が勝利の立役者になった。
残りの対戦カードを考えると試合前の時点では「磐田・甲府・新潟・名古屋の4チームの中でもっとも降格の可能性が高いのは新潟」だと思っていたが今節の結果によって状況は大きく変わった。強豪との3連戦が待っているので楽観視は出来ないが、16位と降格圏に突入した甲府、2ndステージに入ってからわずか1勝のみと結果を出せていない磐田の2チームが精神的にはきつい状況になっている。
■ プレッシャーのかかる状況になったジュビロ磐田 磐田はショックの大きい敗戦になった。降格圏に転落した甲府との差は「4」。依然として1試合では逆転されない数字であるが、15節は監督交代がきっかけで勢いに乗る名古屋とアウェイで対戦して、16節は優勝がかかった浦和をエコパスタジアムで迎え撃つことになる。最後は調子を落としている仙台とアウェイで対戦するが、次の名古屋戦(A)で敗れると名古屋よりも下の順位になってしまう。15位転落の可能性がある。
相手の新潟が「監督を交代して最初の試合」ということでいろいろと難しい面があったと思う。特に片渕監督がどういうサッカーをするのか?についてあまり情報がなかったと思うので対策を立てるのも難しかったと思うが、新潟の勢いに押される時間帯が長くなった。トップ下のMF川辺の推進力からチャンスを作る場面もあったが、結局、奪ったゴールはセットプレーから。MFアダイウトンのスピードを生かせなかった。
先のとおり、磐田は引き分けでもOKという状況だったが、名波監督の選手交代が後手後手に回った印象は否めない。最初の交代は後半43分のMF松浦の投入になったが、途中出場したMF山崎亮とFW鈴木武蔵のドリブルや動き出しに翻弄されて後半35分あたりからアップアップの状態が続いていた。特に磐田の右サイドの守備が対応できなくなっていたのでスタメン11人を引っ張ったのはかなりの謎である。
「守備的なポジションの選手に怪我人が続出している。」という事情もあってベンチ入りした選手で守備的なキャラクターの選手はCBのDF高木和のみ。他には右SBのDF石田崚もベンチに入っているが、『DF高木和を投入して3バックに変更する。」あるいは『DF高木和を投入。DF櫻内を右SBに回してDF山本康を1つ前に上げる。』という選手交代があっても良かったと思うが、名波監督は後半43分まで動かなかった。
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