【磐田×FC東京】 さようならヒロミ
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■ 再開後の2戦目
J1第20節。再開初戦の19節の試合で、ヴィッセル神戸に0対4で大敗を喫したジュビロ磐田が、ホームのヤマハスタジアムでFC東京と対戦。FC東京も、再開初戦で、大分トリニータに敗れており、ともに連敗だけは避けたい試合である。
磐田は、<4−5−1>。MFファブリシオが出場停止で、DFラインは、加賀・田中・鈴木・上田で構成。中盤は、パラナ・犬塚・太田・成岡・西。1トップ気味で、FW前田。
対するFC東京は、<4−3−3>に近い布陣。徳永・茂庭・今野・金沢の4バック。伊野波・梶山・福西の中盤で、石川・鈴木・ルーカスが前線に並ぶ。
■ ファインゴールの連続
試合は、序盤から、磐田が攻守にFC東京を圧倒。前半20分に、MF太田が左サイドからループ気味のミドルシュートを決めて先制すると、後半19分にも、MF太田のパスを受けたMFマルキーニョス・パラナが強烈なロングシュートを決めて2点目。さらに。後半23分にも、MF太田のパスをDF上田が左足でGKの頭上を越すループシュートを決めて3対0とする。
FC東京は、FW平山らを投入するが、勢いの止まらない磐田は、後半27分に、右サイドのMF太田のクロスをFW前田が頭で落として、走りこんだMF成岡が決めて4点目。さらに後半39分にも、FW前田が鮮やかなターンからミドルシュートを突き刺して、5対0とする。
FC東京は、ロスタイムに、FW平山のPKとFW赤嶺のミドルシュートで2点を返すが、焼け石に水。結局、磐田が5対2で勝利。FC東京は、連敗スタートとなった。
■ 再開後の磐田
J1リーグが再開して2試合が経った。チーム状態を大きく分けると、3つのパターンに分けられる。それは、「中断期間にしっかりとトレーニングをしてきて、いい形で後半戦に入れたチーム」と、「中断期間にあれこれと弄りまわして、まだチームとしての形が定まらず、そのまま後半戦が再開してしまったチーム」と、「中断前の課題がまったく解決しておらず、中断期間中にいったい何をしていたんだろうというチーム。」である。
磐田は、2番目のパターンで、アジウソン監督からは、「とにかく選手たちに細かく指示を与えて、いいチームを作っていきたい」という熱い気持ちは伝わってくるが、しかしながら、まだ、完全には、選手たちが監督の意図を消化し切れておらず、混迷のまま再開を迎えてしまった。思い起こしてみると、前半戦の開幕戦も柏レイソルに0対4で敗れている。
しかしながら、クレバーな選手が多いので、試合を重ねるごとに問題点を整理していって、(いい意味で監督の指示を無視しながら、)フィールド上で選手自身が考えて、問題を解決していくことが出来る。したがって、試合内容は、徐々に改善されていくだろう。
■ 1G2Aの太田吉彰
磐田は、MF太田吉彰が、1ゴール2アシスト。さらには、4点目のMF成岡のゴールの基点になるなど、大車輪の活躍を見せた。同じアタッカータイプの西がスタメンで起用されるようになって、太田へのマークも分散したのか、右サイドでフリーに近い状態でボールを持つシーンが目立ち、そこから、精度の高いクロスボールが何度も上がってきた。
特に、FW前田遼一とのコンビネーションは抜群で、前田が二アーに走りこむのか、ファーに流れるのかを瞬時に判断し、ピンポイントでクロスボールが上がってくるので、高確率でビッグチャンスにつながる。
■ 成長を続ける成岡翔
今シーズンから、攻撃的MFの位置で完全にポジションを獲得した成岡は、完全に、一皮、剥けたようだ。これで、今期は、6得点。攻撃的MFの位置では、トップクラスといえる得点力を見せている。
もともと、高い潜在能力を持っていたものの、なかなか素質が開花しなかったが、福西や名波、藤田らがチームを去って、「背番号10」を背負うプレーヤーとして、中心にならなければならない立場となっていた。ようやくという感じである。
現在の成岡は、相手チームのMF福西と同じような役割を期待されているが、福西以上に献身的に動いてチームを活性化させていて、なおかつ、決定的な仕事も行っている。5対2という大差となった原因が、「福西と成岡の差」であったといっても、過言ではない。
これまでは、はるかかなたであった日本代表への道のりだが、今シーズンのプレーを見る限り、「代表候補の一人」と認識しておいて、いいかもしれない。考えてみると、福西という選手は、1年ほど前までは、代表でバリバリのレギュラーだった選手である。たった1年で、評価は大きく変わる。それだけ、サッカー選手は浮き沈みが大きく、1年という時間は、想像以上に大きいのである。
■ 問題が山積みのFC東京
対するFC東京は、問題が山積み。特に気になるのが、明らかに機能しない3トップシステムに執拗にこだわっている点である。3トップは確かに機能すれば、1トップや2トップと比べて、攻撃的なスタイルであるが、あくまでも、機能した場合の話である。
今のFC東京は、3トップの右の石川と、左の鈴木のポジションがワイドに開くため、相手ボランチをケアするのが、トップ下の福西のみという状況であるが、しかしながら、肝心の福西の運動量が十分でないため、相手のボランチはほとんどノープレッシャーの状態でボールを扱えており、簡単にビルドアップが出来る。もちろん、石川や鈴木が、過剰に守備をせざる得ない状況は問題であり、攻撃力で相手のボランチの注意をひきつけてやれればいいのだが、現状では、完全に引っ張り合いに敗れていて、単に、サイドにいるだけという状況になっている。
■ 硬直したチーム作り
大きな期待を受けて、監督に復帰した原監督だが、残念ながら、結果においても、内容においても、その期待にはまったくこたえられていない。
結局のところ、原監督は、70点の戦力を率いて、やり繰りしながら「グッドチーム」を作る才は備えていたが、90点の戦力を率いて、豊かな才能を殺さずにハーモニーを奏でることの出来る「グレートチーム」を率いるだけの才はもたないということだろう。CBに怪我人が続出した点など、考慮すべき点も少なくないが、あまりにもチーム作りが硬直していて、それぞれの個性を生かすことが出来ていないと評価するしかないだろう。
■ さようならヒロミ
キャンプの成果はほとんど見られず、内容も散々であるが、それでも、タレント力はあるので、タレント力で優るチーム相手には、それなりの確率で勝利できるだろう。したがって、J1残留は間違いないだろう。
しかしながら、すでに上位との差は開いており、優勝争いに食い込むのは不可能である。したがって、今後は、切り替えて、来シーズンに目を向けて戦うことも必要だろう。
監督というポジションには、「年齢」というものは、特別、関係するものではないので、1度や2度くらい失敗したところで、また、時期が来れば、次のオファーがくるかもしれないが、今を戦う選手にとっては、「旬な時期」というものがあるので、一時たりとも、無駄に過ごすことは、絶対に出来ない。
原ヒロミは、カリスマ性のある素晴らしい監督で、「2004年のチーム」を率いるには最適の人物だったかもしれないが、「2007年のチーム」あるいは、「2008年のチーム」を率いるには、荷が重すぎたと考えざる得ない。さびしいけれども、「さようなら」といわざる得ない。
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