■ 死のグループDアジアカップの第9日目。サウジアラビア・韓国・バーレーン・インドネシアが入ったグループDは、今大会の予選グループでは、「死のグループ」といわれている。初戦で、最大のライバル・サウジアラビアと引き分けた韓国は、新興勢力バーレーンと対戦した。初戦でインドネシアいに敗れたバーレーンはもちろん、最終戦を地元インドネシアと戦う韓国も、勝ち点3を獲得したい試合である。
試合は、前半4分に金斗のゴールで先制した韓国だったが。前半43分と後半40分にバーレーンにゴールを奪われて逆転負け。これで、韓国は、グループDで最下位に転落し、自力でのグループリーグ突破の可能性がなくなった。
■ 失われた情熱かつての韓国代表は、過剰とも思えるほどのプライドを胸に、熱く、激しく戦ってきた。確かに、洪明甫、柳想鐵、黄善洪、崔龍洙らの旧世代は、長らく、世界大会で結果は残せなかったが、太極戦士として恥ずかしい試合を見せることはなかった。しかしながら、この試合の韓国代表チームからは、何も感じとることができなかった。
アバウトなロングボールと、足元で交わされるパス交換が延々と繰り返されるだけで、MF李天秀がボールをもったときだけ何かが起こりそうな予感がしたが、それも単発だった。ダイナミズムのかけらもなく、この日、ピッチに立った選手からは、韓国代表としてのプライドが感じられなかった。
■ アジアの虎はよみがえるのか?Jリーグ誕生以後、日本と韓国は、いい意味でのライバル関係を築いてきた。したがって、日本のマスコミは、韓国代表に対して、「永遠のライバル」という形容詞を付けることが多いが、果たして、韓国代表が、今後も日本にとって、素晴らしいライバルであり続けることができるのか、やや疑問に感じる。
グループリーグの最終戦で、ベトナムに辛勝し、なんとかグループリーグを突破したものの、今大会で好成績が残せなかったら、ファーベーク監督の首は確実の情勢だと聞く。ヒディンク以前、そして、ヒディンク以後の迷走ぶりは、目に余るものがある。
2002年のW杯は、ホームコートアドバンテージとヒディンク監督によって、「ベスト4」という快挙を成し遂げたが、現在、振り返ってみると、そのときの栄光が、その後の韓国サッカー界に何をもたらしたかを考えたとき、何ももたらしていないことに気付く。
オーストラリアの加入に加えて、バーレーンやベトナムカタールといった、数年前までは、アウトサイダーでしかなかった中堅以下の国々も、着実にレベルアップしている。気がついたときには、もう手遅れになっているという事態も考えられる。
今の韓国サッカー界にもっとも必要なのは、「サッカーを愛する精神」ではないだろうか。例えば、今大会で、ベトナムの観衆がかもし出す雰囲気は、「サッカーが好きで好きでたまらない。」という純な感情から生まれるものであるが、ソウルやプサンのスタジアムで感じる雰囲気はそうではない。アジアの虎は、迷走している。