浦和×シドニーFC 鈴木啓太の可能性
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■ 決戦の夜
ACLのグループリーグ最終節。グループEで首位に立つ浦和レッズが、2位に付けるシドニーFCと対戦。浦和は、引き分けでもグループリーグ突破が決まる。
浦和は、<3−6−1>。ワシントンの1トップで、トップ下に、小野とポンテを起用し、右ウイングバックに山田、左ウイングバックに相馬。
試合は、勝たなければならないシドニーFCが積極的に試合を運ぶが、
浦和は、3バックのネネ・堀之内・坪井が踏ん張って、失点を許さずに、前半を終了した。
後半に入ると、浦和も、ポンテの突破からチャンスをつかむようになるが、ゴール前の人数を欠き、得点は奪えなかった。対するシドニーFCも、長身を生かしたセットプレーでゴールを狙うも、決定打はなく、スコアレスドロー。辛くも、浦和は、決勝トーナメント進出を決めた。
ホームということもあり、華々しくゴールを重ねて、決勝トーナメント進出を決めたかった浦和だが、残念ながら、思ったような試合は出来なかった。
■ スウィートスポット
今シーズンの浦和の攻撃を見ていると、非常に重苦しい感じがする。それは、前線の選手がスウィートスポットを奪い合うシーンが多く、さらには、フリーランニングをする選手が乏しいため、チームとして崩して攻撃を演出することが、ほとんどないためだと思われる。
実は、この現象は、昨シーズンの前半戦でも見られた傾向である。このときは、ブッフバルト監督は、問題解決のために、トップ下に山田、右ウイングバックに平川という配置転換をして、小野や永井、田中らを、ベンチに下げた。これによって、動きのなかった攻撃に変化が生まれて、随分と攻撃に彩りが生まれて、ポンテやワシントンら周りの選手にも、好影響を与えた。
新監督のオジェック氏が、スター選手を並べて、昨シーズン以上の攻撃的なチームを作りたいという気持ちは理解できなくもないが、そろそろ、我慢する時期も、過ぎているのではないだろうか。
■ 狙ったスコアレスドローか?
引き分けでもOKという状況で、スコアレスドローという結果は、最高の結果ではあるが、狙った作戦通りのスコアレスドローかというと、そうとはいえない。
J1では、浦和DFにがっちり引かれると崩しきれるチームはほとんどないと思うが、さすがに、ACLに出場してくるチームであれば、シドニーFCクラスのチームでも、打開できるだけの何かを持っている。シドニーFCでいうと、フィジカル的な強さであるが、この試合でも、セットプレーから、きわどいシーンを多く作った。
Jリーグのなかでは、もっともしたたかなチームであると思われる浦和だが、さすがに、国際舞台では、思ったような試合運びは出来ない。これは、残念ではあるが、一方で、こういう経験を積み重ねていくことは大事であり、異国のチームとハードな試合を行うことは、かけがえのない財産になるだろう。
■ 鈴木啓太のプレーについて
グループリーグ突破という結果は素晴らしかったが、試合内容は、いまひとつだった。ただ、全く見所がなかったかというと、そうではない。MF鈴木啓太のプレーには、少し、ときめきを覚えた。
守備の強い、阿部とダブルボランチを組んでいる影響だろうか、鈴木啓太が狙うことのできるパス範囲(射程)が、以前よりも広がっており、その一つ一つのパスの質も、上がってきているように感じた。もしかしたら、表面上は、パスミスが多かったかと感じる人もいたかもしれない。が、狙いをもったパス(ミス)が増えていて、十分な進化を感じた。
従来のように、トップ下の選手がゲームメークを行うサッカーは、すでに過去のものとなり、現代サッカーでは、ボランチが、試合を動かすことが求められている。日本代表でも、鈴木啓太がパス回しの中心となって、試合を組み立てることが求められているが、なかなか、うまくいかないことが多かった。そんな中で、この試合の鈴木啓太のプレーは、オシムジャパンにとっても、光明といえるかもしれない。
■ 必要善なパスミス
ボクは、ボランチの選手がパスミスをするのは、よくないとは思わない。「パスミス」というとネガティブなイメージもあるし、試合観戦記でも、「パスミスが多かったことが敗因。」と書く人も多い。ただ、安易なパスミスと、狙いのあるパスのミスは、区別すべきだと思うし、少々、リスキーなパスであっても、通れば確実にチャンスなるというシーンでパスを出さないことは、たとえ、その後の展開でボールが奪われなかったとしても、判断ミスだと思うし、きちんと、指摘されるべきだと思う。
理想は、ノーミスで試合を終えることかもしれないが、実際問題として、日本代表のボランチで、そんなことができるのは、酒井くらいである。試合を作るボランチにとって、ミスが少ないことは大事な要素だが、全く、ミスがないことも、不自然であり、優れたプレーとはいえない。
現代サッカーでは、ボランチから、勝負のパスがでないと、相手DFを崩せないことが多い。この試合では、まだ、リスキーなパスといえるレベルだが、パスコースが見えているということは大事であり、適度にチャレンジのパスを混ぜていかなければ、一流のボランチとはいえない。この夜の鈴木啓太には、一流のボランチへと脱皮するかもしれないという可能性を、少し感じることができた。
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