■ どう変わったのか? Jリーグがスタートしたのは1993年で、J2がスタートしたのは1999年。J1では2002年まで「Vゴール方式」を採用していたが、2003年から全ての試合が90分で完結するようになった。J1のチーム数については、2003年と2004年は16チームだったが、2005年から18チームとなった。そして、1993年から2004年までは2ステージ制を採用していたが、2005年以降は1ステージ制を採用している。
元日本代表でオフトジャパンの中核だった森保監督率いる広島がリーグ連覇を達成した2013年というのは、延長戦が廃止されて「11回目のシーズン」だった。この11年でJリーグはどう変わったのか、どこは変わっていないのか。いろいろな見方ができると思うが、今回は、数字だけで「この11年間」の変化を探ってみた。(以下で用いる数字はJリーグの公式ホームページの「公式記録」から引っ張ってきている。)
※ 2003年と2004年は16チーム制で2ステージ制を採用している。
※ 2005年以降は18チーム制で1ステージ制を採用している。
(1) 得点数の比較
→ 下の表1は2003年から2013年までの11シーズンの「得点の総数」と「1試合平均の得点」を示している。上のとおりで、「2003年-2004年まで」と「2005年-2013年まで」はトータルの試合数が異なる。前者が240試合(=30*16/2)で、後者が306試合(=34*18/2)なので、総数だけでなく「平均の数字」も出しているが、1試合で生まれる得点の数自体は大きな差は見られない。
ただ、若干のバラツキは見られる。「3.19/試合」だった2006年がこの11年間でもっとも高くなっていて、「2.56/試合」だった2008年がもっとも低くなっている。今シーズン(=2013年)は「2.87/試合」だったが、ピークの時期(=2006年)よりは下がっているが、もっとも低かった頃(=2008年)と比べると高くなっている。2008年あたりを底にして「ゴール数は増えつつある。」というのが、現状である。
表1. 得点数の推移 (2003年-2013年まで)
得点 得点の総数 1試合平均の得点 2003年 718 2.99 2004年 744 3.10 2005年 873 2.85 2006年 976 3.19 2007年 867 2.83 2008年 783 2.56 2009年 791 2.58 2010年 813 2.66 2011年 869 2.84 2012年 855 2.79 2013年 879 2.87
(2) PKの本数の比較
→ 表2はPKの本数となる。これに関しては、ここ11年間で大きな変動は無いと言える。そして、上(=表1)の「得点数の推移」と比較しても、傾向は感じ取れない。2004年と2005年と2006年と2011年は「0.200/試合」をオーバーしているが、極端にPKが多いシーズンも無いし、極端にPKが少ないシーズンも無い。PKに関する推移に関しては、「面白みの無いデータになっている。」と言わざる得ない。
表2. PKの本数の推移 (2003年-2013年まで)
PK本数 総数 1試合平均 2003年 40 0.167 2004年 58 0.242 2005年 67 0.219 2006年 66 0.216 2007年 54 0.176 2008年 51 0.167 2009年 54 0.176 2010年 59 0.193 2011年 68 0.222 2012年 54 0.176 2013年 59 0.193
(3) シュートの本数
→ 表3は「1試合あたりのシュート本数」となる。「公式記録員がシュートとカウントする基準は変わっていない。」という前提で話を進めるが、2003年から2011年まではずっと「23~24本台/試合」だったが、2012年と2013年は「21本台/試合」。したがって、この2年間でガクッと減っている。「最近、シュートシーンが減っているのではないか?」と感じていた人がいたとしたら、正しい認識と言える。
もちろん、「シュートの本数が減っているから駄目。」、「試合のレベルが低い。」、「攻撃的なポジションのタレントが不足している。」というわけではない。全体の守備力が向上したので「なかなか隙を見付けられなくなったのでは?」とも考えられる。ただ、昔のFWフッキ(東京Vや川崎Fなど)のような「圧倒的な個の力を持った外国人アタッカー」が減ってきているのは間違いない。
表3. シュート本数の推移 (2003年-2013年まで)
シュート数 総数 1試合平均 2003年 5,702 23.76 2004年 5,934 24.73 2005年 7,543 24.65 2006年 7,615 24.89 2007年 7,315 23.91 2008年 7,198 23.52 2009年 7,116 23.25 2010年 7,619 24.90 2011年 7,189 23.49 2012年 6,718 21.95 2013年 6,730 21.99
(4) CKの本数
→ 表4はCKの本数となる。これもちょっと減ってきているが、大きな差とは言えない。ただ、シュート数なども同様であるが、試合が動いている時間(=アクチュアル・プレイング・タイム)は、10年ほど前と比べると相当に長くなっていると思うので、「それでもあまり本数が変わっていない。」となると、「CKの本数(など)が減っている。」と錯覚する人がいても不思議は無い。
もちろん、TVゲームのように「攻撃:6、守備:4」といった具合に、単純に数値化できる話ではないが、Jリーグ全体で言うと、以前と比べると「攻撃にかけるウエイトを下げている。」 or 「下がっている。」というチームが多くなっているようには感じられる。2000年代の中盤は、攻撃的なスタイルを貫いてリーグを盛り上げたチームがいくつかあったが、ここ最近は、そういうチームはほとんど無い。
表4. CKの本数の推移 (2003年-2013年まで)
CK 総数 1試合平均 2003年 2,457 10.24 2004年 2,549 10.62 2005年 3,099 10.13 2006年 3,148 10.29 2007年 3,067 10.02 2008年 2,990 9.77 2009年 2,850 9.31 2010年 3,118 10.19 2011年 3,056 9.99 2012年 3,004 9.82 2013年 2,921 9.55
※ (
上 )で触れたのは、「あまり変わっていない」、「大きくは変わっていない。」という部分です。(
下 )では、「大きく変わっている部分」について触れたいと思います。
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