■ 京都と徳島の決勝戦2回目の開催となったJ2のプレーオフは12月1日(日)に1回戦が行われて3位の京都と4位の徳島が決勝戦に進出した。西京極で行われた京都と長崎の試合は0対0の引き分けで、鳴門で行われた徳島と千葉の試合は1対1の引き分けだったが、京都も、徳島も、「引き分けでもOK」というアドバンテージを最大限に生かすことができた。決勝戦は12月8日(日)に国立競技場で行われる。
2012年のファイナルは千葉と大分のカードとなったので、近場の千葉のサポーターがたくさん国立競技場に駆け付けた。そのため、国立競技場は黄色に染まったが、今回は、どうなるだろうか。当然、京都のサポーターも、徳島のサポーターも、大勢、国立競技場に駆け付けると思うが、中立のサッカーファンも多くなることが予想されるので、こういう人たちを味方につけられるかどうかも大事になってくる。
話題性があるのは、やはり、徳島の方である。京都はJ1経験が豊富なチームで、J1復帰が実現すれば2010年以来となるが、徳島は「初のJ1昇格」となる。しかも、「四国初のJ1クラブ」となって、さらには、今をときめくスター選手の「FW柿谷を育てたクラブ」というメディアが飛びつきやすい要素もある。どちらかというと、徳島に肩入れしながら試合を観る人が多くなるのでは?と予想される。
■ まずかった実況アナただ、「徳島が昇格するのは嫌だ。」という人もいるだろう。同じように「四国初のJ1クラブ」を目指している愛媛FCの関係者はそうだと思うし、また、プレーオフの1回戦の徳島と千葉の試合をスカパーで観戦して、「徳島(正確に言うと、徳島戦を担当している実況アナ)が昇格してくるのは嫌だ。」という人も少なくないのでは?と思う。それくらい徳島と千葉の試合を担当した実況アナはひどかった。
四国放送(日本テレビ系列)のアナウンサーで、いつも徳島のホームゲームの実況を担当している人だと思うが、「資料読みに勤しみながら、なおかつ、要所以外のところでも絶叫する。」というWスタイルで視聴者を困惑させた。普段はもう少し大人しかったと思うが、プレーオフということでテンションが上がってしまったのか、「1人で舞い上がってしまった。」と表現するのが適当である。
解説の田渕龍二さんと幸谷秀巳さんの2人はそんなにうるさいタイプではないので、結果として、実況席で1人で浮く形になった。徳島のサポーターは慣れていることと、実況スタイルに気が回るような試合展開ではなかったこともあって、あまり気にはならなかったと思うが、千葉のサポーターはフラストレーションのたまる試合展開だったので、不快指数がMaxまで高まったことは容易に想像できる。
そして、同時刻には京都と長崎の試合も行われていたので、「徳島と千葉の試合の実況が煩過ぎる。」ということで、京都と長崎の試合の方にチャンネルを変えてしまった人というのが、日本全国で相当な数に上ったのではないかと思われる。何でもないようなシーンでも絶叫するので、「熱い試合展開だったけれども、冷めてしまった。」という人が多かったと思う。
■ 解説者や実況アナの役割スカパーの解説者と実況アナというのは、地方クラブになると固定されることが多い。関東周辺のクラブになると、担当できる解説者やアナウンサーがたくさんいるので、誰かに偏るケースはあまり無いが、徳島のような地方クラブになると、特定の人で固定されることが多い。解説者の田渕龍二さんには全く不満は無いが、この実況アナに関しては、まずいと言わざる得ない。
地方クラブの場合、スカパーの解説者や実況アナの役割は大きいと思う。栃木SCがJ2に昇格してきた頃、セルジオ越後氏が栃木SCのホームゲームの解説を務めることがあったが、当時、J2に昇格して間もないクラブだったこともあって、栃木SCというクラブや選手の情報を仕入れておらず、当たり障りの無いコメントに終始したため、栃木SCというクラブや選手の魅力を発信することができなかった時期があった。
スカパーの試合中継というのは、地元のファンに魅力を伝えるのはもちろんのこと、相手チームのサポーターあるいは中立のサッカーファンに「チームのこと」や「選手のこと」を知ってもらえる絶好の機会だと思うが、精力的に活動している解説者や実況アナがいい仕事がしているところもあるし、そうではないところもある。ましてや、変わった実況スタイルで嫌悪感をまき散らすというのは、論外である。
関連エントリー 2008/05/04
カリスマ:山本浩アナの名フレーズを堪能する。 2010/12/09
サッカー解説者やライターの順位予想はどのくらい当たっているのか? 2010/12/09
スカパーとJリーグアフターゲームショーへの期待 2010/12/10
サッカーを伝えるメディアの怖さ 2013/02/17
【投票結果】 好きな解説者は誰ですか? (1位~30位まで) 2013/10/17
「辛口評論家」はなぜ好まれないか? 2013/11/14
英断だったJ2のプレーオフ制度の導入 2013/11/30
J3+(アンテナ) 2013/11/30
全記事一覧(2005年-2013年)
おすすめエントリー (10記事)