■ カープ人気の凄さ広島に滞在していた時、もっとも驚いたのは、広島東洋カープの人気の凄まじさである。広島駅の売店では「それいけカープ」というカープの応援歌(♪カープ カープ カープ広島 広島カープ)がずっと流れていて、カープのユニフォームや旗、タオルなどを販売しているカープグッズのスペースもかなりの広さである。
広島カープというと、原子爆弾によって壊滅的な被害を受けた広島の復興の象徴として1950年に誕生しており、自動車メーカーのマツダが筆頭株主になっているが、親会社という扱いではないので、プロ野球では珍しい市民球団である。広島県民にとっては、特別な存在であることは容易に想像できる。
ただ、広島の人にお土産でカープグッズをもらったとしたら、反応に困ってしまうし、中国地方以外の人がカープグッズに反応を示すことはあまり無いと思う。なので、引きが強いアイテムのようには思えないが、やはり、広島という街を象徴するものであり、それ故、グッズ売り場に大きなスペースを割いているのだと思う。
■ トップス広島の活動広島駅の売店には、サンフレッチェ広島のグッズも置かれていたが、カープのエリアと比べると、非常に小さいものだったので、「まだまだ大きな差がある。」と感じたが、それでも、広島カープとサンフレッチェ広島は良好な関係を築いており、ともに発展していこうとする意欲が感じられる。
ビッグアーチでも、試合前に「トップス広島」の紹介がされたが、これは、『広島県で活動する異なるスポーツ団体が連携して、地域密着に取り組むために結成された組織』のことで、2000年から活動している日本初の異競技連携組織であり、現在のところ、以下の9つの団体が加盟しているという。
・広島カープ(プロ野球)
・サンフレッチェ広島(Jリーグ:男子サッカー)
・JTサンダーズ(Vリーグ:バレーボール男子)
・ワクナガレオリック(ハンドボール男子)
・広島メイプルレッズ(ハンドボール女子)
・広島ガスバドミントン部(バドミントン女子)
・NTT西日本広島ソフトテニスクラブ(ソフトテニス男女)
・中国電力陸上競技部(陸上競技男子)
・コカ・コーラウエストレッドスパークス(ホッケー女子)
■ 野球チームとサッカークラブの関係地域によっては、野球チームとサッカークラブの関係が良好ではないところもある。近年、サッカーも追い上げてきているが、現状では、日本のスポーツ界をリードしているのはプロ野球であり、規模や人気や注目度に大きな差があって、プロ野球チームとサッカークラブで大きな格差が生じている地域もある。
そうなると、野球ファンはサッカーを見下しがちで、サッカーファンは嫉妬心もあって野球に嫌悪感を抱くケースが多くなる。足の引っ張り合いになることも考えられるが、広島の場合は、県内で活動しているスポーツチームが連携を取っていて、サンフレッチェの選手がカープの試合を観に行く姿も頻繁に目撃されている。
野球とサッカーの関係で印象に残っているのは、日産スタジアムの例である。今でも実施されているのか、継続的に実施されているのかは分からないが、以前、横浜市の日産スタジアムに横浜FMの試合を観に行った時、他のJリーグの試合の経過だけでなく、横浜ベイスターズの試合の経過もアナウンスしていた。
このときは、「ベイスターズがリードしている。」という情報が流れたので、横浜FMのサポーターから大きな歓声が上がったことを覚えているが、Jリーグの試合会場でプロ野球の試合の途中経過を報じるところに出くわしたのは、この時が初めてだったので、非常に新鮮だった。
広島と横浜以外では、札幌・仙台・千葉・名古屋・大阪・福岡も、野球とサッカーの両方を抱えている街である。当然、同じ時間帯に試合を行わざる得ないケースもあるので、観客を取りあうライバルであるのは間違いないが、過剰に敵対することは全くいいことではない。
トップス広島のような組織を作るのはなかなか大変だと思うが、横浜FMのように野球の情報を少し流すだけでも、双方にメリットはあると思う。「野球もサッカーも両方好きだ。」という人の割合がもっとも高いと思うので、プロ野球と競合している地域のクラブは、いい関係が築けるように知恵を絞って欲しいと思う。
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