[ナビスコ決勝] 鹿島×千葉 心を打つ千葉のサッカー | | このエントリーを含むはてなブックマーク |

■ ジェフ千葉が2連覇を達成

ナビスコカップの決勝は、10冠を狙う鹿島アントラーズと連覇を狙うジェフ千葉の対戦。鹿島はボランチのフェルナンド、千葉はMFクルプニコビッチとDFストヤノフが出場停止。

前半は千葉のペース。FWハースを中心に、MF羽生やMF山岸の飛び出しを有効に使って、鹿島を苦しめる。しかしながら、前半28分でハースが負傷で退くと、鹿島もMF青木のロングボールからサイドを生かした効果的な攻撃を見せ始める。

後半に入ると、千葉のプレスがやや弱くなり、鹿島が主導権を握る。しかしながら、鹿島はなかなか決定機を作れない。そんななか、後半35分に、左サイドの坂本のセンタリングを右サイドで受けた水野が、鮮やかなミドルシュートを決めて先制。さらに2分後に、水野のコーナーキックを阿部がヘディングシュートで突き放す。結局、2対0で千葉が勝利して、見事に2連覇を達成した。

■ 輝かしい未来を予感させる水野晃樹

MVPは、決勝で1G1Aの活躍を見せたMF水野晃樹。坂本を押しのけて先発出場を果たし、素晴らしいパフォーマンスを見せた。豊富な運動量、切れ味鋭いドリブル、正確なキックと、サイドアタッカーに必要な要素を全て持っているが、中でも、キックの正確さは目を見張るものがある。

水野が右サイドで、プレッシャーの緩い状態でクロスを上げると、間違いなく精度が高くて、得点につながりそうなボールが入ってくる。欧州には、キックの正確さだけが売りで、代表に登りつめた選手もいるくらい、サイドのプレーヤーにとっては必要不可欠の要素だが、日本人では、このタイプの選手はなかなかいなかった。近年では、佐藤由紀彦や岩本輝雄くらいか。

そして、水野は、彼らとは比較にならないくらいの突破力も備える。ワールドユースやナビスコカップを見ても分かるように、大事な試合で結果を残すことの出来るメンタリティの強さも魅力的。水野の将来は、明るい未来しか待っていない。

■ 日本最高の選手へ・・・

追加点のゴールを挙げたキャプテンの阿部。それにしても、ここ数試合の阿部のプレーは際立っている。体を張ったディフェンス、つなぎのパス、リスクをおかして攻撃参加するタイミングの全てがパーフェクト。

以前の阿部は、なかなか厳しい試合では力を発揮できずに終わることが多かったが、最近は、大事な試合になればなるほど、自チームが劣勢になればなるほど、真の実力が発揮されるようになる。そのうえ、自らのゴールで勝利をたぐい寄せることも多い。この状態が続くようだと、「日本最高のオールラウンダー」から「日本最高のプレーヤー」に、その称号を変更しなければならない。その日が迫っている。

■ 成長著しいMF羽生直剛

水野や阿部に優るとも劣らない活躍を見せたのが、MFの羽生前節の名古屋戦も素晴らしかったが、この試合もアグレッシブなプレーを見せた。以前の羽生は、がむしゃらに走り回るだけの選手だったが、ここ最近は、クレバーに走り回っており、プレーの実効レベルが高く、危険なエリアで仕事が出来るようになっている。オフ・ザ・ボールの動きだけでなく、オン・ザ・ボールでのプレーレベルが格段にupした。

左SMFで先発し、ハースの負傷により2トップの一角に入った山岸も、印象的なプレーを見せた。スタートポジションは左だがスルスルと中央に進出してきて、シュートに絡むセンスは天性のものである。

■ 不可解だったアウトゥオリ監督の選手起用

鹿島側から見ると、最も警戒すべきハースの負傷退場というラッキーな要素もあって、後半に入ると試合を支配し始めたが、水野と阿部の個人能力の前に、またしても苦杯を喫することになった。

それにしても、腑に落ちないのは、左サイドバックとしてファビオ・サントスを起用した采配である。千葉のキープレーヤーである水野に対して、守備に不安のあるファビオ・サントスをマッチアップさせると、ズタズタに切り裂かれるのは目に見えていたにもかかわらず、アウトゥオリ監督は修正を行うことはなかった。深井とファビオ・サントスのコンビで左サイドを制圧して、水野に攻撃参加をさせない作戦だったかもしれないが、阿部の的確なサポートもあって、水野が完全にサイドの主導権を奪った。

もうひとつ疑問に思うのは、FW柳沢の起用。彼は、今、明らかに調子を落としている。そして、ここ最近、全く結果を残していない。鹿島の顔である柳沢に対しては、そのときの調子には関係なくて、常時試合に出場させなければならない、という規則があるのだろうか?田代や深井、本山といったFWの選択肢が他にもいくつもあった。柳沢にこだわったアウトゥオリ監督の意図が分からない。

■ 理屈なしに心に響くジェフのサッカー

この日の国立競技場の観客席は、赤と黄色が真っ二つに分かれた。かつては、J1で最も人気のないクラブのひとつという悪評もあったジェフが、鹿島という優良クラブを相手に互角の動員力を示す日が来るとは思ってもいなかった。千葉の観客動員力が大幅にupした理由は、ピッチ上でが繰り広げる魅力的なサッカーに取り付かれて離れられなくなったサポーターが多くいるからにほかならない。

今シーズン、千葉の試合を何度か生で観戦したが、彼のサッカー表現すると、真摯なサッカーといえる。不器用だが、試合開始から、常に全力でプレーする。相手ゴールキーパーにバックパスされたボールに対して、前線の二人がアプローチに行く。チャンスと見るや、ダブルボランチが両方とも前線に上がって、シュートチャンスに絡む。相手のシュートシーンに対しては、体を投げ出してブロックを試みる。リスクを恐れずに真摯にプレーするその姿勢が、理屈なしに心に響く。

■ 過渡期に入った鹿島

一方の鹿島についてだが、一度、リセットが必要な時期に入っているのではないかと思う。チームの中心だった小笠原満男と中田浩二がチームを去り、メンバーも様変わりした。世代交代の時期にありながら、リーグ戦で上位につけるあたりは、伝統の力を感じずにはいられないが、鹿島アントラーズに求められるのは、内容のあるサッカーで勝利し続けて、強いアントラーズとしてJ1に君臨すること、それだけである。

中盤に、野沢や増田、深井といった、テクニックのあるドリブラーが多く存在する今のチームで、どういうサッカーをすれば一番効果的なのか、もう一度、考え直すことも必要ではないかと思う。ジーコの築き上げた鹿島スタイルのサッカーは大事だが、そこにこだわりすぎているように思う。

■ 順当な結果

2対0というスコアは、両チームの現時点での実力差を正確に示した、きわめて順当な結果だった。ナビスコカップの連覇は12年ぶりである。ジェフ千葉が、新しい歴史を作った。




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2006/11/03 ジェフ千葉 トラックバック:0 コメント:0














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