■ ELが開幕UEFAのELが開幕。ロシアのルビン・カザン、セルビアのパルチザン・ベオグラード、アゼルバイジャンのネフチ・バクーと同じグループHに入ったイタリアのインテルは、ホームのスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァでルビン・カザンと対戦した。
ホームのインテルは「4-3-1-2」。GKハンダノヴィッチ。DFジョナタン、ラノッキア、サムエル、長友佑都。MFガルガノ、サネッティ、カンビアッソ、コウチーニョ。FWリヴァヤ、カッサーノ。MFスナイデルとFWミリートはベンチスタートとなった。
対するルビン・カザンは「4-4-1-1」。GKリジコフ。DFクズミン、シャロノフ、ナバス、マルカノ。MFリャザンツェフ、ナチョ、ボッケッティ、カラデニズ、エレメンコ。FWロンドン。マラガから加入のFWロンドンは、2011-2012年はリーガ・エスパニョーラで11ゴールを挙げている。
■ 2対2のドロー試合はアウェーのルビン・カザンが先制する。前半16分にMFカラデニズがペナルティエリア内でDFジョナタンに倒されてPKを獲得。最初のMFナチョのシュートはGKハンダノヴィッチが防ぐが、こぼれ球をMFリャザンツェフが押し込んでルビン・カザンが先制する。
劣勢のインテルだったが、前半39分にMFカンビアッソが飛び出して相手GKを引き付けてからゴール前にクロスを上げると、FWリヴァヤがヘディングで合わせて1対1の同点に追いつく。クロアチア出身で19歳のFWリヴァヤは初ゴールとなった。前半は1対1で終了する。
後半もルビン・カザンのペースとなる。インテルはFWミリート、MFアルヴァロ・ペレイラを投入して勝ち越しゴールを狙うが、逆に後半39分にカウンターからベネズエラ代表のFWロンドンに決められて1対2とリードを許す。この場面では、DFラノッキアの対応が甘かった。
追い詰められたインテルだったが、後半ロスタイムにDF長友が持ち上がって、DFサムエルを経由して右サイドに流れたFWミリートにパスが渡ると、FWミリートのグラウンダーのクロスをゴール前に入っていたDF長友がハーフボレー気味に合わせて2対2の同点に追いつく。結局、試合は2対2のドローに終わった。
■ 不満足な出来久々にCL出場権を獲得できず、今シーズンはELに回っているインテルであるが、思うような試合はできなかった。例年のことであるが、CLの常連チームがELに回るとモチベーションが上がらず、取りこぼす試合が目立つが、インテルもテンポが上がらずに苦戦した。
MFスナイデル、FWミリートをスタメンから外して、MFコウチーニョやFWリヴァヤを起用するなど、何人かメンバーを入れ代えてきたが、若手は期待に応えることはできず、MFコウチーニョはボールを持ちすぎて相手にボールを奪われるシーンが多くて、FWリヴァヤも同点ゴールをマークしたが、消えている時間が長かった。
失点シーンも、1点目はDFジョナタンの不必要な後ろからのチャージでPKを獲られたことが原因で、2失点目もDFラノッキアの対応が緩くて、FWロンドンに突破を許した。ELのグループリーグに関しては、内容よりも、結果が重要で、とにかく、決勝トーナメントに進出することが大切になるが、ホームでいい試合はできなかった。
■ 値千金の同点弾そんな中、DF長友も、なかなか見せ場を作れなかった。中盤でミスが多くて、相手のカウンターへのケアも十分ではなかったので、DF長友が上がって行っても、途中でカットされて、カウンターでDF長友の裏のスペースを突かれるシーンが多かった。
よって、難しい試合となったが、最後の最後でチームを救うゴールを決めた。このグループは、当然、インテルが本命で、近年、CLで奮闘しているルビン・カザンが2番手と考えられているが、初戦のホームゲームを落としていたら、大変なことになっていた。
ゴールシーンは前にスペースがあったので、自分で持ち上がって中央のDFサムエルに送って、そこから、右サイドのFWミリートがボールを受けて、FWミリートのグラウンダーのクロスを右足で合わせたが、フォワードの選手顔負けのビューティフル・ゴールとなった。
思いっきり蹴ると、ふかしてしまうようなグラウンダーのクロスだったので、簡単なボールではなかったが、全く力むことなく、軽く右足で合わせてネットを揺らした。こういうゴールは、「ローマのトッティがよく決めている。」とイメージがあるが、本当に鮮やかなシュートだった。
■ 居場所を確保した長友今シーズンのインテルはストラマッチョーニ監督が率いているが、DF長友は信頼を勝ち取っていて、「中心選手の1人」という扱いを受けている。ポジションは、右SBであったり、左SBであったり、中盤であったり、様々であるが、ずっとスタメンで起用されており、「使いすぎではないか。」と心配するほど、フル稼働している。
電撃的にインテルに加入してから、1年半以上が経過して、完全にチーム内で居場所を確保しているが、つなぎの部分であったり、縦パスの精度は、明らかに向上しており、タフさも増しているように感じる。この試合は、クロスを上げるシーンは無かったので、味方のシュートをお膳立てするようなプレーは無かったが、着実に前進しているように感じられる。
すでに、「世界トップレベルに近いSB」という評価を得ているので、ここまで到達すると、これから先、何を目指して行けばいいのか、難しくなるが、DF長友が加入してから、リーグタイトルやビッグイヤーは獲得していないので、そろそろ、チームとして、結果を残してほしいところである。
リーグタイトルはユベントスが大きな壁になると思うが、チャンスが無いわけではない。CLに関しては、今シーズンは出場できないので無理であるが、ELに関しては、「優勝候補の一角」と目されており、可能性はある。モチベーションを上げにくい大会ではあるが、期待したいところである。
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