■ プレシーズンマッチ3月10日のJ1の開幕まであと3週間となって、各チームは実戦の段階に入ってきた。19日(日)から各地でプレシーズンマッチもスタートしているが、高知県の春野では、J1のアルビレックス新潟とヴィッセル神戸が対戦した。昨シーズンは、新潟は14位で、神戸は9位だった。
新潟は「4-2-2-2」。GK黒河。DF三門、大井、石川、キム・ジンス。MF本間、菊地、小谷野、アラン・ミネイロ。FWミシェウ、ブルーノ・ロペス。G大阪から加入のFW平井はベンチスタート。新外国人のDFキム・ジンス、MFアラン・ミネイロはスタメン出場で、MF金永根はベンチスタートとなった。
対する神戸は「4-2-2-2」。GK徳重。DF茂木、羽田、高木、相馬。MF伊野波、橋本、森岡、野沢。FW大久保、都倉。新加入のMF伊野波はボランチでスタメン出場。鹿島から加入のFW田代は欠場で、187センチのFW都倉がスタメン出場。DF北本もコンディション不良でベンチ外となって、DF羽田とDF高木がセンターバックを組む。新高校3年のDF岩波もベンチに入った。
■ アルビレックスが快勝!!!立ち上がりからボールを支配したのは神戸で、MF伊野波とMF橋本の新しいダブルボランチがボールに触って、ゲームを作っていく。しかし、シュートまで持っていくことはできず、前半はシュートなし。フォワードで起用されているFW大久保も見せ場を作れなかった。対する新潟は、左サイドのDFキム・ジンスが積極的に攻撃に参加して、チャンスに絡んでいく。
0対0で折り返した後半開始から、新潟はMFアラン・ミネイロに代えてFW平井を投入。FWブルーノ・ロペスとFW平井の2トップ気味の布陣に変更し、FWミシェウのポジションを少し下げる。すると、後半2分にカウンターから左サイドでボールを受けたFWブルーノ・ロペスのクロスがゴール前でFW平井のところに渡ると、神戸の選手がクリアしきれなかったところをフリーのMFミシェウが押し込んで新潟が先制する。
さらに、後半23分にも、DFキム・ジンスがドリブルで持ち運んでから得意の左足で強烈なミドルシュートを決めて2点目を挙げる。新潟は、後半39分にも、MF菊地のパスを受けたFWブルーノ・ロペスがペナルティエリア内でGK植草に倒されてPKを獲得。これを、FWブルーノ・ロペスが自ら決めて3対0とリードを広げる。結局、試合は3対0で新潟が勝利。順調に調整が進んでいることを示した。一方の神戸は攻撃陣が噛み合わず、開幕に向けて不安の残る試合となった。
■ 新戦力のDFキム・ジンスがアピールMF曹永哲、DF酒井高が移籍したため、新潟は左サイドをどうするのか?が焦点になっていたが、この試合は、左サイドバックに19歳のDFキム・ジンスが起用された。新潟は、今オフ、MF金永根とDFキム・ジンスという二人の韓国人レフティーを獲得しており、どちらかというと前評判が高かったのは、21歳のMF金永根ほ方だったが、DFキム・ジンスにチャンスが与えられて、J1の神戸を相手にインパクトのあるプレーを見せた。
「スタミナが武器」という評判通り、前半から再三に渡ってサイドをアップダウンし、ブラジル人トリオに絡んでいくと、後半23分には、スルスルとドリブルで駆け上がって強烈な左足のシュートを決めて見せた。左SBは、DF内田、MF中村太、DF石川も候補となるが、初のプレシーズンマッチで存在をアピールし、開幕スタメンもほぼ確実と思われる。MF曹永哲とDF酒井高が抜けたため、弱点になりうるポジションだっただけに、若手が出てきたのは大きい。
一方で、同じ新戦力のMFアラン・ミネイロは、明らかにウエイトオーバーで、ほとんど見せ場を作れずに、前半だけで退いた。フリーキックは可能性を感じさせたが、ボールを失うケースも多くて、低調なパフォーマンスに終始した。後半からFW平井を投入して、ストライカーを二人並べる布陣に変更してから攻撃に迫力も出たので、かなり苦しい立場になったといえる。
■ ボランチの軸になるMF伊野波今オフ、日本代表経験者を5人も獲得し、話題を振りまいた神戸は、新戦力のMF橋本、MF伊野波、MF野沢、DF高木の4人がスタメンで出場。それぞれ、光るプレーを見せて可能性は感じさせた。特に、ボランチに入ったMF伊野波は、力強いボール奪取と正確なロングフィードで起点となって、存在感を示した。MF伊野波は、鹿島ではセンターバックでプレーすることが多かったが、本職のボランチで違和感なくプレーし、中盤の軸になるのは確実といえる。
ここ数年、神戸はボランチのところで苦労していて、 MF松岡、MF三原、MF田中英らが起用されることが多かったが、レギュラーに定着するには至らなかった。したがって、攻守両面で貢献できるMF伊野波の加入は大きい。チーム事情を考えるとサイドバックでの起用も考えられるが、ボランチで固定するのがベストだろう。パートナーを組むMF橋本も、MF伊野波がいれば安心して攻撃に絡むことができるので、、攻撃も厚みが出てくるだろう。
一方、同じ新加入のMF野沢は、セットプレーのシーンでは、精度の高いキックを見せて、際どいシーンを作った。昨シーズンの神戸は、ほとんどセットプレーでゴールを奪うことができなかったので、大きな戦力となるだろう。ただ、インプレーでは、消えている時間も長くて、力を発揮しきれなかった。タレント揃いの鹿島では、MF野沢が消えてしまっても、チャンスを作ることができるが、神戸の場合、MF野沢に消えられると攻撃が行き詰ってしまう。
■ 2トップは不発無得点に終わった神戸は、フォワード陣の奮起も期待される。補強の目玉といえるFW田代は、コンディションが戻っておらず欠場となったので、移籍3年目のFW都倉がスタメンで起用されたが、シュートチャンスを作ることができなかった。立ち上がりから、DF高木、DF羽田、MF伊野波といった選手がロングボールを蹴っていて、うまく中盤の選手に落として次の展開につなげることができたシーンもあったが、十分ではなかった。
また、今シーズンからフォワードで起用されることになったFW大久保も、持ち味を出せなかった。試合の終盤に何度かシュートチャンスを迎えたが、いい形でボールを持つ回数も少なくて、味方を生かすプレーも少なかった。アイスランド戦の日本代表メンバーに招集されており、モチベーションは上がっていると思われるが、この試合ではらしさを見せることはなかった。
今シーズンは、フォワードはFW田代が軸で、FW大久保との2トップが濃厚となったが、ともに怪我で離脱することの多い選手で、フルシーズン戦うのは難しいだろう。FW都倉以外にも、MF森岡、MF小川といったアタッカーにも、ゴールに絡むプレーが求められるが、この試合では、揃っていいところを見せられず、アピールはできなかった。MF伊野波、MF橋本、DF高木が加わって、後ろは安定してきたので、攻撃陣の頑張り次第で、上の順位に行くことも可能と思えるが、開幕に向けてかなり不安の残る試合となった。
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