■ 第32節J2の第32節。6位の栃木SCが、ホームで5位のジェフ千葉と対戦。栃木SCは12勝8敗10分けで勝ち点「46」。千葉は14勝8敗8分けで勝ち点「50」。J2は残り8試合で、2位の鳥栖が勝ち点「56」、3位の札幌が勝ち点「53」、4位の徳島が勝ち点「52」となっている。
6位の栃木SCは、8月末から10月にかけて、8試合勝利なし。「0勝5敗3分け」と大失速して、J1昇格争いから脱落したかと思われたが、上位の札幌・徳島・千葉が揃って勝ち点を伸ばせず、少し差が詰まってきた。もし、ホームで千葉を下すようだと、5位との勝ち点が「1差」となって、上位の背中が見えてくる。ただ、「負け」や「引き分け」に終わると、完全に脱落となるので、ラストチャンスの試合と言える。一方の千葉は、草津(H)、水戸(A)に敗れて2連敗中。金曜日には、ドワイト監督が解任されて、神戸氏が新監督に就任した。
ホームの栃木SCは「4-2-2-2」。GK武田。DF宇佐美、渡部、落合、那須川。MF本橋、高木、水沼、河原。FWリカルド・ロボ、崔根植。FWサビア、MF廣瀬らがベンチスタートとなった。FWリカルド・ロボはリーグ戦で9ゴールを挙げているが、ここ8試合ゴールが生まれていない。
対するアウェーの千葉は「4-1-4-1」。GK岡本。DF山口慶、竹内、青木良、渡邊。MF佐藤勇、伊藤、村井、深井、米倉。FW久保。途中加入で3ゴールを挙げているFW大島は欠場となって、ルーキーのFW久保がスタメン出場。スタメンは6試合目となる。MF佐藤勇の1ボランチ気味の布陣で、MF伊藤とMF村井がその前にポジションを取る。
■ スコアレスドロー試合は、立ち上がりから激しい展開になる。接触プレーも多くて、両チームの選手がピッチに倒れ込むシーンも目立つ。最初にペースを握ったのはアウェーの千葉で、MF米倉が左サイドを抜け出して決定機を迎えるが、シュートはブロックされてゴールならず。
対する栃木SCは、前半34分にフリーキックを獲得すると、DF那須川が得意のブレ球でゴールを狙うが、GK岡本の正面に飛んでゴールならず。千葉も、後半39分にMF佐藤勇が同じくブレ球のフリーキックでゴールを狙うが、GK武田にセーブされてゴールならず。前半は0対0で終了する。
後半も同じような展開で進む。千葉は、後半24分に、MF米倉に代えてMF太田圭を投入。すると、右サイドの攻撃が活性化し、セットプレーを獲得するシーンが増えていく。一方の栃木SCも、後半20分にMF河原に代えてMF廣瀬を投入すると、MF廣瀬がドリブルからチャンスを作っていく。0対0のままで進んだ後半のロスタイムには、混戦からMF廣瀬がビッグチャンスを迎えるが、千葉のGK岡本が好セーブを見せてゴールならず。結局、試合は0対0で終了し、両チームとも勝ち点「1」を獲得するにとどまった。
■ FWリカルド・ロボは期待に応えられず・・・両チームとも、「勝つしかない試合」だったが、特に、栃木SCの方は、「勝利」以外の場合、J1昇格の可能性が限りなく「ゼロ」に近づく試合だったので、何とか勝ち点「3」が欲しかったが、なかなか決定機を作れずスコアレスドロー。これで、状況はかなり厳しくなった。
奮闘したのは、U-22日本代表のMF水沼と、途中出場のMF廣瀬の二人で、後半のラスト15分ほどは、この二人が絡んでチャンスを作るようになったが、ゴール前では、FWリカルド・ロボ、FW崔根植、FWサビアの外国人トリオがほとんど仕事をすることができなかった。
中でも、FWリカルド・ロボは9試合ゴールなし。昇格争いの大事な時期に入ってゴールが止まっており、「失速」の理由の1つになっている。中盤からいいボールが出てこなくて、気の毒な部分はあるが、シュートチャンスすら、ほとんど作れず、ゴール前で力を出せていない。勝ち点「3」が必要な試合が続いていくが、FWリカルド・ロボの調子がこのままだと苦しい。
■ ボランチのMF本橋はまずまず栃木SCは、MFパウリーニョが離脱した後、ボランチの人選で苦労しているが、J2通算200試合目の出場となった、MF本橋はまずまずのプレーを見せた。これまでは、MF高木、MF西澤といった選手をコンバートして起用していたが、不慣れな面が出てしまって、チームを落ち着かせることはできなかったが、MF本橋が入って、少し流れは良くなった。
また、前述のようにMF水沼、MF廣瀬の動きもよかった。U-22日本代表では当落線上のMF水沼であるが、今シーズンは、コンスタントに質の高いプレーを続けており、気持ちの入ったプレーを続けている。もともとは「周りに生かされるタイプの選手」だったが、今シーズンは、自分で打開するプレーも増えており、J2の中では、トップレベルのパフォーマンスを見せている。
途中出場のMF廣瀬も、自分の良さを出した。FW崔根植と交代してフォワードで起用されるかと思われたが、MF河原との交代となったので、左サイドハーフに入ったが、得意のドリブルを披露して、チャンスを作った。最後のロスタイムのシュートが決まっていれば、「大ヒーロー」だったので、非常に悔やまれるが、流れを引き寄せる働きは見せた。
■ 神戸新監督のサッカーは?一方の千葉は、21日(金)にドワイト監督を解任して、テクニカルダイレクターだった神戸氏を監督に迎えた。初の試合ということで、注目を集めていたが、ベースとなるメンバーは変わっておらず、新監督の特色はあまり出ていなかったが、MF村井、FW久保というスタメンに抜擢した選手は、まずまずの働きを見せた。
MF村井は後半に疲れが出たのか、やや試合から消えてしまったが、前半はいい位置でボールを受けて、攻撃に変化を加えていた。ドワイト監督時代は、FWオーロイらターゲットマンが中心で、意外性のある攻撃ができずに停滞したところがあったので、MF村井を2.5列目的なポジションで起用したのは、面白い起用法と言える。
また、ルーキーのFW久保は1トップのポジションを任されたが、DF渡部やDF落合ともほぼ互角に渡り合って、及第点と言えるパフォーマンスを見せた。ただ、「決定機」をほとんど作れなかったのは課題で、「いいプレーはするのだが・・・。」というレベルにとどまっている。競り合いにも強いので、面白い存在であるが、そろそろ、結果が欲しいところである。
■ ドワイト監督の解任の判断は?千葉は、金曜日にドワイト監督を解任した。その時点で、J2は残り8試合であるが、明らかに夏場以降は、失速していて、そのままの体制では「J1昇格」は難しいと判断したのだろう。順位表だけを見ると、札幌とは「3」差なので、ギャンブルともいえるが、個人的には妥当な判断だったのでは?と思う。
ちょうど、同じタイミングで浦和レッズも監督を交代させているが、こちらの方は、「かなり遅すぎた交代」と言わざるえないが、千葉の場合、ここしかなかっただろう。「昇格」を目指すには、勝ち点「3」を積み上げていくしかないので、「残留」よりも難易度は高くなるので、立て直すのは簡単ではないが、ドワイト体制の最後の方の試合よりは、選手達も自信を持ってプレーしており、「効果」はあったように感じる。
あとは「得点」である。ここまで来ると、「悪くない試合」をして、勝ち点「1」を獲得しても、いいとは言えない。FWオーロイが戻ってくる可能性も低いので、現有戦力で戦うしかないが、まだ、「セットプレー」や「MF深井の個人技」くらいしか、ゴールに近づいてこない。このあたりで、ラッキーボーイ的な選手が出てくると助かるが・・・。
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