■ 震災復興支援チャリティーマッチ震災復興支援を目的とした「日伊レジェンドマッチ」が、8月31日の水曜日にユアテックスタジアム仙台で行われた。対戦したのは、JリーグのOB選手が中心となった「Jエスペランサ」と、ACミランのOB選手で構成された「AC MILAN グロリエ」。
「エスペランサ」とは、ポルトガル語で「希望」「夢」を意味する。「Jエスペランサ」は「4-2-2-2」。Gk高桑。DF名良橋、DF井原、DF小村、DF中田。MF本田、山口素、澤登、岩本。FW平瀬、三浦知。ベンチ入りメンバーは、GK小島、GK都築、DF秋田、DF中西、MF平野、MF加藤望、MF千葉、MF北澤、MF野々村、MF森保、FW長谷川、FW福田、FW水内、FW水沼で、水沼氏はプレーイングマネージャーとなる。横浜FCのFW三浦知は唯一の現役選手で、ゲストプレーヤーで出場した。
一方の「AC MILAN グロリエ」は、DFバレージ、DFコスタクルタ、FWマッサーロら元イタリア代表の選手と、元フランス代表のFWパパン、元ブラジル代表のGKジーダ、MFセルジーニョらが来日。1980年代から2000年代にかけてACミランで活躍したビッグネームが顔をそろえた。
■ Jエスペランサが勝利試合の前半は、両チームとも「動けるメンバー」が中心。「Jエスペランサ」では、横浜FCのFW三浦知良が攻撃をリードし、シドニー五輪代表チームでも活躍したFW平瀬と2トップを組んでチャンスに絡んでいく。
一方の「AC MILAN グロリエ」は、FWマッサーロとFWパパンという夢の2トップが先発するも、二人ともオーバーウエイト気味で運動量は少なめ。DFバレージを中心とした守備は「さすが」のクオリティで無失点に抑えるが、「Jエスペランサ」が優勢で前半を折り返す。
0対0で迎えた後半は、両チームともメンバーを大きく入れ替えてくる。先制したのは「Jエスペランサ」で、後半13分に右サイドからのクロスが逆サイドに流れたところを、ミスターベガルタのMF千葉が上手くフォローして中に折り返すと、ミスターレッズのFW福田正博が左足で決めて先制に成功する。
リードを許したACミランは、FWパパンらが、レフェリーの判定にクレームをつけるシーンも出てきて「負けず嫌い」のところが出てくる。同点ゴールが生まれたのは後半31分。ゴールやや右寄りの絶好の位置でFKを得ると、元ブラジル代表のMFセルジーニョが得意の左足で直接決めて1対1の同点に追いつく。
しかし、「Jエスペランサ」は、試合終了間際に、再登場していたFW三浦知が左サイドからクロスを上げると、逆サイドでフリーになっていたMF北澤がボレーで決めて2対1と勝ち越しに成功する。「AC MILAN グロリエ」は、GKジーダをフィールドプレーヤーで投入するなど、盛り上がるシーンを作るが、試合はそのまま2対1で終了。「Jエスペランサ」が「AC MILAN グロリエ」を勝利を飾った。
■ 決勝ゴールはMF北澤豪こういうチャリティーマッチは「緩い展開」になることが多いが、この試合は両チームともに真剣にプレーし、技術を見せ合うというよりはも、勝利を目指してプレーを続けた。FW福田のゴールでリードされた後、ACミランの選手のスイッチが切り替わって、現役時代さながらの「マジモード」に入っていったのは面白かったが、こういうメンタリティの選手でないと、ACミランで活躍することはできないということだろう。
40分ハーフの試合で、試合終了の直前の後半39分に決勝ゴールを決めたのは、ヴェルディ川崎や日本代表で活躍したMF北澤豪で、FW三浦知からのクロスを落ち着いて決めてヒーローとなった。FW三浦知とMF北澤というフランスW杯の直前でメンバーから外れた二人でACミランから決勝ゴールをマークしたというのは、ドラマチックだった。
OB戦になると「動ける選手」と「動けない選手」の二つに、極端に分かれるのも面白いところで、MFセルジーニョ、MF北澤、MF山口、MF加藤望、MF岩本、DF井原、DF小村といったところは、現役時代とほとんど変わらない体型でプレーも見事だったが、FWパパン、FWマッサーロ、MFレンティー二、FW長谷川健太やMF野々村といったところは、ひどかった。このあたりの違いを見るのも、こういう試合では面白い。
■ FW三浦知良が決勝アシストゲストで出場したFW三浦知は、後半終了間際にMF北澤のゴールをアシストした。FW三浦知とACミランというと、カズのセリエAのデビュー戦となった試合で、DFバレージと激突して鼻を骨折して負傷交代した試合が思い出されるが、あれから、もう17年も経っているという。時間が経つのは早いものである。
それにしても、その試合でカズが負傷交代することなくプレー出来ていたら、FW三浦知のサッカー人生も大きく変わっていたのでは?と思われる。当時は、日本人が欧州でプレーすること自体が珍しかったので「先駆者」として大きなものを背負っていて、今の選手達と比較するのはフェアではないが、テクニックやスピードといったものは間違いなく通用したはずで、セリエAで活躍できても不思議はなかった。
本人は、ACミランやDFバレージに対して、特別な感情は持っておらず、インタビューでもさらっと流しており、FW三浦知らしい一面を見せたが、「もし、負傷が無かったら・・・。」というのは、どうしても考えてしまう。
■ DFバレージの存在感「世界最高のディフェンダー」と言われて、ACミランで532試合に出場しているDFバレージは、51歳になった。全盛期のDFバレージのプレーは、さすがによく分からないが、彼について、印象的なのは1994年のアメリカW杯である。
この大会で、グループリーグの最中に膝を痛めてチームから離脱するが、大会途中に手術を行って戦列に復帰すると、決勝戦のブラジル戦で先発に復帰。0対0の末にPK戦で敗れて世界一はならなかったが、全盛期のFWロマーリオを完封するという離れ業を見せた。その試合でテレビ解説をしていた加茂周さんが、DFバレージのプレーを絶賛し続けたことは、よくエピソードで語られることである。
そのDFバレージは、前半30分までプレーしたが、最終ラインでの存在感はさすがで、ポジショニングは身体能力や運動能力が衰えた今でも健在で、本当に、観ていて面白いセンターバックである。身長は176㎝なので、センターバックとしては小柄であるが、「読みの鋭さ」と「味方を統率する力」は図抜けていた。
■ FWマッサーロは不発ACミランは、FWビエリ、FWウェアらが不参加となった中、2トップを組んだのはFWマッサーロとFWパパンだった。FWマッサーロは1995年、1996年と2年間、清水エスパルスでプレーし、20試合で10ゴールを挙げている。FWマッサーロについては、FWマッサーロ獲得にお金を使いすぎて、クラブの経営が傾いてしまったという負の部分もあるが、世界的にも有名な選手で、Jリーグに華やかさをもたらしてくれた1人であることに間違いない。
イタリア人でJリーグでプレーした経験がある選手というと非常に少なくて、FWスキラッチとDFザッペッラとFWマッサーロくらいで、人数は少ない。「守備の文化のある国」なので、DFのポジションの選手が来日してくれると、もっとJリーグも面白くなると思うので、今後に期待である。
今回、仙台でチャリティーマッチを開催することになった背景には、そのFWマッサーロの力も大きかったということで、ありがたいことである。
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