■ 10節J1の第10節。1勝2敗1分けのヴィッセル神戸が、ホームで川崎フロンターレと対戦。川崎Fは2勝2敗のイーブンの成績。第9節は前半30分に相手に退場者が出て数的優位となったが攻めあぐねて、終了間際にFW小林がゴールを決めて辛くも1対0で勝利した。
ホームの神戸は<4-2-2-2>。GK徳重。DF近藤、北本、河本、茂木。MF三原、松岡、ホジェリーニョ、大久保。FW森岡、都倉。187cmのFW都倉が初スタメン。DF石櫃は欠場でDF近藤がスタメン。MFボッティ、MF吉田、FWポポ、MF小川らがベンチスタート。
対する川崎Fも<4-2-2-2>。GK相澤。DF田中裕、菊地、井川、小宮山。MF中村憲、柴崎、山瀬功、登里。FWジュニーニョ、矢島。元日本代表のMF稲本は怪我のため欠場中。
■ MF朴康造が決勝ゴール試合は前半からホームの神戸がFW都倉の高さを生かして優位に進める。開始早々に左サイドからのクロスをFW都倉がヘディングで合わせるが、シュートは枠を外れてゴールならず。川崎FはFWジュニーニョを起点に攻撃を行うが、相方のFW矢島といい関係が築けない。前半は0対0で折り返す。
試合は0対0のままで進み、後半22分に神戸がFW森岡に代えてMF朴康造を投入。すると、その1分後に、神戸のMFホジェリーニョがゴールラインを割りそうなボールに対して、上手く足を出して中央にグラウンダーのボールを入れると、フリーで中にいたMF朴康造が押し込んで先制ゴールを挙げる。MF朴康造は今シーズン初ゴール。川崎FはMFホジェリーニョに対するDF田中裕の対応がまずかった。
試合は、結局、MF朴康造のゴールを守った神戸が1対0で勝利。今シーズン2勝目を飾った。一方の川崎Fは2勝3敗。10位に転落した。
■ MFホジェリーニョがアシスト開幕戦に浦和に1対0で勝利したが、再開後の3試合は0勝2敗1分け。1対1、0対1、0対1というスコアで、いい試合をしながらゴールが遠かった神戸であるが、MFホジェリーニョの粘りが決勝ゴールを生みだした。MFホジェリーニョはコンディション不良もあってキャンプのときから出遅れていたが、中断期間中に調子を上げてきたようで、攻撃だけでなくて、守備でもいいプレーを見せた。
背番号「9」をつけており、「左足のパスやシュートに優れたアタッカー」という触れ込みだったので、もっと攻撃的でセルフィッシュなタイプかと思っていたが、ブラジル人アタッカーらしくなく、プレーは献身的である。評価の高かった「左足のキック」はさすがに精度も高いので、かなりの優良助っ人といえる。
神戸は1.5列目や2列目タイプの選手が多く、どのように使い分けていくのかが注目されるところであるが、MF大久保とともに、MFホジェリーニョも継続してレギュラーとして起用されるのでは?と思われる。
■ FW都倉が初先発神戸は、初先発のFW都倉も持ち味を発揮した。FW都倉は川崎Fの下部組織出身で、そのままトップチームに上がったため、古巣との対決となったが、立ち上がりから気合十分で空中戦で勝利することが多かった。立ち上がりのヘディングシュートが決まっていればもっと良かったが、足を攣って交代するまで、タフに戦った。
神戸は、センターフォワードタイプが全くいないので、「FWポポ+FW吉田」など、小柄な選手を2トップに並べることが多くなっているが、187㎝のFW都倉が使えるようになると、チームとしての幅は広がる。もともと、起用な選手ではないため、ポストプレーは得意ではないのでボールを失うことも多いが、うまくサポートしてやると、力が出せるようになる。幸いにして、神戸には、周りを生かせるタイプは多いので、今後の活躍に期待したいところである。
■ 川崎Fは黒星が先行一方、川崎Fはこれで2勝3敗と負けが先行した。開幕戦は山形(H)に2対0で勝利したが、仙台(H)と名古屋(A)にも敗れており、5試合で4得点のみ。持ち前の攻撃力を発揮できておらず、苦しい戦いが続いている。
出遅れていたFWジュニーニョは、ようやくスタメンに復帰してきたが、まだ本来の調子にはなっておらず、FW矢島も好不調の波が激しく計算しにくい。FW黒津も欠いており、昨年11月のアジア大会の日本代表であるMF登里はレギュラーをつかみつつあるが、ラストの精度が低く、チャンスに結び付けられないシーンが多い。2005年にJ1に昇格してから、爆発的な攻撃力で何度もタイトルに迫ったチームであるが、今シーズンは前線の駒が不足しており、攻撃には物足りなさが残る。
■ 調子が上がってこないMF中村憲剛①何よりも、気がかりなのは大黒柱のMF中村憲の状態である。MF稲本が離脱するまでは「攻撃的MF」で起用されていて、MF稲本が怪我で欠場するようになってからは「ボランチ」で起用されているが、新加入のMF柴崎との有効な絡みも見られず、上手くゲームをコントロールできておらず、決定的なパスを出す回数も少ない。
ただ、これは、今シーズンのここまでに限った話ではなく、昨年の夏頃から感じられたことであり、結局、2010年は、J1のベストイレブンに選ばれたが、「これはどうなの?」と思うような選出であり、彼にしては、かなり物足りないシーズンだった。監督も変わって、久々にオフも長かったので回復してくるかと思ったが、まだまだのようである。
■ 調子が上がってこないMF中村憲剛②もちろん、極端にミスが多くなったとか、そういうわけではないが、2005年にJ1に上がってきて、2006年に代表に定着してからは、ずっと高いレベルで安定していたので、ここ半年ほどのプレーには、違和感を感じてしまう。
昨年の夏というと、ザッケローニ監督が日本代表に就任した頃であり、今年の1月のアジアカップの代表メンバーからMF中村憲が落選したことは話題になったが、いいときのMF中村憲のプレーが強く残っている日本のファンやジャーナリストとは違って、実は、ザッケローニ監督は、本調子のMF中村憲を見れておらず、それゆえに「まさかの落選」とファンやジャーナリストが感じる結果になっているのでは?とも想像できる。
FW鄭大世とFWレナチーニョが退団し、MF中村憲の負担が大きくなった時期とも重なるので、気の毒な面もあるし、MF中村憲も30歳を超えてきて、「勤続疲労」もあるだろし、「年齢的な衰え」という話も出てくるだろうが、チームが変わっていく途中であり、まだまだチームの大黒柱として頑張ってくれないと困る選手だけに、心配なところである。
関連エントリー 2008/02/13
【Jリーグ】 データで見るスルーパスの名手は誰? 2008/04/03
もうフッキのプレーは見たくない。 2008/07/04
意外と知られていないJリーグのエピソード集(その1) 2008/07/07
意外と知られていないJリーグのエピソード集(その2) 2009/11/04
「わたし」が好きだったJリーガー 2010/06/03
日本サッカーの偏差値を下げてしまっている人 2010/11/24
【川崎F×C大阪】 サイクルの終焉