■ マレーシア戦アジア大会の2試合目。初戦の中国に3対0で勝利した日本はマレーシアと対戦。マレーシアは初戦でキルギスに2対1で勝利している。日本は勝てばグループリーグ突破が決定する。
日本は<4-2-3-1>。GK安藤。DF實藤、鈴木、薗田、比嘉。MF山口、山村、水沼、東、山崎。FW永井。ジェフ千葉のDF鎌田がスタメンから外れて流経大のDF比嘉がスタメン出場。他の10人は中国戦と同じ。FW工藤、MF黒木、MF大塚、DF菅沼らがベンチスタート。
■ グループ首位決定試合は中1日ということで動きの鈍い日本が攻めあぐねる。なかなかFW永井がボールを収めることが出来ずに、イージーなパスミスも出てリズムをつかめない。しかし、前半25分に左サイドでボールを持ったMF山崎のスルーパスを受けたMF東が中央を突破。シュートはGKに防がれるが、リバウンドをFW永井が豪快にボレーで決めて先制する。FW永井は2試合連続ゴール。前半は1対0で折り返す。
後半もいい形で攻められなかったが、後半19分にMF山崎のパスからFW永井が裏に抜け出てゴール前に柔らかいラストパス。ゴール前に入り込んだボランチのMF山口がダイビングヘッドで決めて2対0とリードを広げる。
結局、そのまま2対0で日本が勝利。3戦目のキルギスに敗れても2勝1敗で3チームが並んだとしても、当該チームの対戦で中国とマレーシアに勝利している日本が上になるので、日本のグループリーグ1位が決定した。
■ 乏しい内容中1日というコンディション面で厳しい条件ではあったが、この日の日本のパフォーマンスは今一つ。初戦は好プレーを見せた1トップのFW永井もミスが目立って、1ゴール1アシストと結果は残したが、物足りない内容だった。
今回のメンバーは、主力と目される選手はほとんど招集されておらず、大学生とJリーグであまり試合に出ることの出来ないメンバーが中心となるので、しっかりアピールしなければならないが、この日はいいアピールが出来た選手は少なかった。難しい試合を危なげなく勝てたことは収穫であるが、残念な内容だった。
■ 攻撃の課題中国戦は立ち上がりに先制したため、その後、日本優位で試合が進んで、マレーシアとは地力の差があったので大きな問題にはならなかったが、相手に引かれたときに苦しみそうなメンバーになっている。例えば、名古屋のFW金崎のようにサイドでボールを持ったときに強引に仕掛けられる選手がおらず、FW永井の走るスペースを消されたときに、攻撃が行き詰る可能性は大である。
次のキルギス戦は大丈夫だと思うが、追い込まれたときに誰が打開するのか。関塚監督が動いてメンバーを代えてくるのか。このあたりが、今大会でもっとも注目したいポイントであり、とりあえずは、2列目に入っているMF水沼、MF東、MF山崎の3人に期待したいが、果たしてどうだろうか?
■ 山口が追加点のゴール今大会はボランチでポジションを奪っているC大阪のMF山口。チームメイトのMF黒木を押しのけてスタメンとなっているが、中国戦やマレーシア戦の前半は消極的なプレーが目立っていて、リズムに乗れていない部分が感じられたが、素晴らしい攻撃参加から2点目のゴールを奪うと、その後は自信を持ってプレーし、いいミドルシュートもあって、時間が経つにつれて、存在感が高まっていった。
C大阪では同期で同じユース出身のDF丸橋に遅れを取っており、ボランチの争いでも、MFマルチネス、MFアマラウ、MF羽田、MF黒木の次の存在。ということで、J1では1試合に出場したのみ。試合経験が不足しているが、このような選手にとっては、アジア大会のような国際試合を経験できることは非常に大きく、何かを持ち帰ってきてほしいところである。
■ センターバックコンビ新潟のDF鈴木、川崎FのDF薗田のセンターバックコンビは2試合連続完封。前半終了間際に決定的なシュートを放たれてヒヤッとしたが、それ以外ではマレーシアがリードされた状態でもあまり攻めてこなかったこともあって、大きな問題はなかった。
この二人もJ1では試合出場は少なくて、DF鈴木は5試合、DF薗田は3試合に出場しただけ。ベンチを温めることが多いが、センターバックのポジションはほとんどの選手が似たような立場であり、J1でも、J2でも、常時、出場機会を得ている選手はほとんどいない。
したがって、この二人は今大会でいいプレーを見せれば、そのままこのコンビでセンターバックのレギュラーを任される可能性は大きくなる。二人にとってはチャンスであり、チャンスを生かしてほしいところである。
■ 各クラブとの綱引きグループリーグ突破が決定し、最低限の目標はクリアしたU-21代表であるが、主力のほとんどを欠いており、効率的な強化が出来ているかといったら、かなり疑問である。2009年のU-20世界大会の出場権を逃した影響もあって、この年代でベストメンバーが揃った試合は昨年末のアウェーの韓国戦くらいであり、五輪予選が迫っていることを考えると、かなり不安である。
このあたりは非常に悩ましい問題であり、先のU-19代表でも招集したい選手の何人かがJリーグを優先して招集できずに終わった。今大会のメンバーも、各クラブの意向に従ったメンバーとなっているが、同じ時期にリーグ戦が組まれていたら、どうしてもリーグ戦優先となってしまう。チームのなかで重要な選手になればなるほど、各クラブが手放さなくなるわけで、いい選手が育ってきていることの裏返しであるが、うまく調整していかないと、「いい選手がいるのに、アジアでも勝てない。」という事態になりかねない。