■ 第25節J1の第25節。9勝7敗8分けで10位。ACL圏内となる3位のガンバ大阪との差は「8」。2年連続でACLに出場のために落とせない試合が続くサンフレッチェ広島が降格圏内の京都サンガと対戦。京都は3勝15敗6分けで17位。22節に神戸に3対0で勝利し18試合ぶりの勝利を飾ったが、23節はアウェーで先制しながら新潟とドロー。24節はホームの西京極に磐田を迎えたが開始早々に失点を喫して0対1で敗戦。当面の目標となる残留圏内の15位の神戸との差は「8」となって厳しくなってきた。勝って少しずつ差を縮めていきたい。
ホームの京都は<4-2-2-2>。GK守田。DF渡邉大、郭泰輝、水本、森下。MF角田、安藤、中山、中村太。FWドゥトラ、ディエゴ。FW柳沢、MF鈴木慎がベンチスタート。ロンドン世代のGK守田は4試合連続スタメン出場。同じくロンドン世代のMF中村太は12試合連続スタメン。
対するアウェーの広島は<3-6-1>。GK西川。DF横竹、ストヤノフ、槙野。MF中島、青山敏、森脇、山岸、高萩、高柳。FW李忠成。リーグ戦は全試合スタメン中だったMF服部がスタメンから外れてMF山岸が左サイドハーフでスタメン。1トップのFW李忠成はナビスコカップの清水戦を含めて3試合連続ゴール中。FW佐藤寿人は怪我で長期離脱中。GK西川は9月30日に発表されたアルゼンチン戦と韓国戦の日本代表メンバーに選出されている。
■ 広島が圧倒試合は前半12分に広島が先制。FW李忠成がDF水本に倒されてゴール左寄りでフリーキックを獲得。これをDF槙野が強烈な右足のシュートで決めて先制する。16節のホームの京都戦でも直接フリーキックを決めているDF槙野は今シーズン4ゴール目。直接フリーキックでは2ゴール目。
その後は13:04キックオフの試合ということもあって、両チームとも動きが止まってきて、スローな試合になる。1点をリードしている広島にとっては悪くないリズムであったが、勝てなければならない京都にとっては痛いペースダウン。広島の術中にはまった京都はいいところなく、前半は1対0の広島リードで終了。
迎えた後半6分に広島が追加点を挙げる。MF高柳のパスからFW李忠成が裏のスペースに走りこんでGK守田と1対1になると得意の左足で冷静に決めて2対0。さらに後半13分にも左サイドを駆け上がったDF槙野のクロスをFW李忠成が合わせて3点目を挙げる。FW李忠成はリーグ戦は3試合連続ゴール。DF槙野は1ゴール1アシストの活躍。
結局、そのまま広島が3対0で勝利。勝ち点「3」を積み上げた。一方の京都はホームで連敗。J1残留は非常に厳しくなった。
■ 李忠成が2ゴールナビスコカップで負傷したFW佐藤寿人の代わりに1トップでスタメン出場を続けているFW李忠成が2ゴール。ナビスコカップの清水戦を含めると4試合連続ゴール。絶好調である。北京五輪代表で在日4世のFW李忠成は昨年の8月に柏から広島に移籍。期待の戦力であったが、チーム内にFW佐藤寿という絶対的なストライカーがいることで出場機会は限られていて、なかなかリーグ戦での初ゴールは生まれなかったが、先日の神戸戦で初ゴールを記録すると、4戦連発。本領を発揮している。
柏時代に1トップでプレーした経験はあるが、広島のサッカーはかなり特殊であり、高いコンビネーションが必要とされる。出場機会が巡ってこないことで、なかなか連携も高められずに、途中出場を果たしてもかみ合わない試合が多々見られたが、FW佐藤寿が離脱して「やるしかない状態」になったことが幸いしている。
FW佐藤寿のようなシュートセンスはないが、身体能力は高くて182㎝と高さもある。前線に高さがなかった広島にとって、1つのポイントが出来たことは大きく、2シャドーのMF高萩とFW高柳との連携もよくなってきている。こうなると、FW佐藤寿が戻ってきたときにどうするのか?といううれしい悩みも出てくるだろう。
■ 槙野がフリーキック弾大きかったのは前半12分のDF槙野のフリーキック弾。立ち上がりはやや京都ペースで進んでいたが、DF槙野の一発で試合の流れは完全に広島に移った。DF槙野の強烈な右足のシュートはセットプレーで大きな武器となりつつある。
もともと攻撃好きの選手として知られており、18歳の時に入団会見でディフェンダーながら、「新人王と得点王を目指します。」と宣言したというエピソードもあるが、年々、攻撃の幅を広げてきて、その裏で相当の努力をしているということは容易に想像できる。ゴールパフォーマンスに代表されるようにオチャラけたイメージが強いが、天才肌というよりは努力家である。
また、フリーキックからの自身のゴールだけでなくてアシストの記録。これでアシストも3試合連続で記録。3試合ともにFW李忠成のゴールをおぜん立てしている。3点目のFW李忠成のゴールにつながった左足のクロスは本職顔負けの精度の高いクロスだった。
■ 機能する2シャドーFW佐藤寿だけでなく、FW山崎も欠いていて怪我人が続出している広島は、MF高萩とMF高柳の2シャドーでスタート。リーグ戦では2試合連続でこのコンビとなったが、FW李忠成との連携もよくて、ユニットとして機能していた。このポジションはMF柏木が浦和に移籍し、MF森崎浩もコンディション不良が多く、なかなか固定できなかったが、このhコンビがはまってきた。
ファンタジスタ・タイプのFW高萩は、ファンタジスタらしくムラがあるのが欠点であるが、1タッチで局面を変えられるだけの技術と創造性がある。惜しい場面でシュートを決められないもどかしさはあったが、ボールキープも出来ていい出来だった。一方のMF高柳はFW李忠成の1点目のゴールをアシスト。以前は、堅実なボランチタイプの選手だったが、ペトロビッチ監督の指導の影響か、フィジカルを武器にした2列目のダイナモ的な選手も成長している。
サンフレッチェ・ユースの同期で、若年層の日本代表でもプレーした二人が、10代の頃に想像していたようなタイプの選手にはならず、異質なカテゴリーの選手に育ってきている点は面白いが、選手の能力を引き出すことの上手いペトロビッチ監督ならではのことだろうか?
■ 厳しい残留ホームの西京極で磐田、広島との2連戦。最低でも1勝1分けで乗り切りたかったが、まさかの連敗。残り9試合ということを考えると、残留はかなり厳しくなってきた。立ち上がりの入り方は悪くはなかったが、DF槙野のゴールで意気消沈してしまった。前半途中でMF中村太亮を下げてMF中村充孝を投入する積極采配もほとんど効果を発揮せず、ノーチャンスの試合となった。
MF中村太、GK守田とロンドン世代の若手が出てきているのは救いではあるが、ダイナミックな変更がないと、このまま17位あるいは18位でシーズンを終えることになりそうだ。なかなか勝てない状況なので仕方がないとはいえ、ボランチのところから好パスが前線に送ることが出来ない点はやはり大きい。
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