■ 夏の京都古都・京都。1200年以上の歴史があるこの街の夏は、盆地特有の「熱がこもりやすい状態」となるため、他の地域の夏とは一味違ったものとなる。毎年、この「京都の夏」というアドバンテージを利用して真夏に強い京都サンガであるが、今シーズンは苦しんでいる。
3月27日の第4節のジュビロ磐田戦に3対2で勝利してから15試合勝利なしの京都。2勝12敗5分けで勝ち点は「11」で最下位の18位。秋田豊監督が就任してからは5試合で1分け4敗。2得点で12失点と状況は改善されないばかりか、悪化している感もある。しかし、19節の湘南戦はロスタイムにFW柳沢のゴールで追い付いて引き分けに持ち込むという劇的な展開で新体制で初めての勝ち点を奪っている。流れは変わり始めているか?
対する横浜Fマリノスは8勝7敗4分け。18節に首位の清水に2対1で勝利したかと思えば、19節ではホームでモンテディオ山形に0対1の完封負け。安定した戦いが出来ているとはいい難い。
#1 スタジアム前
■ 両チームのスタメンホームの京都は<3-4-3>。GK水谷。DF水本、増嶋、森下。MF中山、安藤、渡邉大、中村太。FWドゥトラ、金成勇、ディエゴ。湘南ベルマーレ戦で秋田体制の初ゴールを決めたFW金成勇が2試合連続スタメン。
一方の横浜FMは<4-2-2-2>。GK飯倉。DF天野、栗原、中澤、波戸。MF小椋、松田、中村俊、兵藤。FW渡邉千、坂田。MF山瀬功はベンチスタート。FW坂田は今シーズン6試合目のスタメン。MF松田は3試合目のスタメンでボランチで出場。DF渡邉大とFW渡邉千の兄弟が揃ってスタメン出場となった。
ちなみに、本日は「山科区民デー・伏見区民デー」ということで、京都市山科区出身のMF松井大輔の写真やトロフィーが展示されていた。
#2 山科出身の松井大輔
■ マリノスが勝利試合の前半は序盤は京都ペース。右のMF渡邉大が起点となる。前半3分にはMF渡邊大がサイドから意表を突くロングシュート。これは惜しくもクロスバーでゴールならず。
いい立ち上がりをした京都だったが、時間が進むにつれて横浜FMペースとなっていく。京都の中盤の守備が甘くて、簡単にボールが持てるようになった横浜FMは前半21分にMF小椋のスルーパスから右サイドをMF松田が抜け出してクロス。クリアしそうとしたDF森下がクリアしきれずにオウンゴール。横浜FMが先制する。その後も横浜FMはFW渡邉千が決定機を迎えるなど、前半は優勢。1対0で折り返す。
後半になると4バックにシステムを変更した京都ペースとなる。後半開始から投入されたFW柳沢のポストプレーも効果的で押し込んでいく。同点ゴールは後半19分。右サイドからFWドゥトラがドリブルで仕掛けて中央のFWディエゴにパスを送り、MF中山を経由して左サイドのMF中村太が左足でシュート。これが決まって1対1の同点に追い付く。MF中村太はJ1初ゴール。
押せ押せの京都は後半28分にFWドゥトラとMF渡邉大のコンビで右サイドを完全に崩してFW柳沢が決定的なチャンスを迎えるがシュートは枠外。一方、後半は運動量が落ちて劣勢だった横浜FMだが、後半終了間際にMF山瀬功のパスからMF河合がフリーでミドルシュート。これが決まって2対1とリードを奪う。
結局、2対1で横浜FMが劇的な勝利。今シーズン9勝目を飾った。
■ 劇的な決勝ゴール後半に追い付かれて嫌な流れとなっていた横浜FMであるが、試合終了間際に途中出場のMF山瀬功とMF河合のコンビで決勝ゴールを奪った。後半は運動量が低下しパフォーマンスも落ちていたので「ドローでもやむなし」の雰囲気になっていたが、上位進出に向けて大きな勝ち点「3」を奪ったといえる。
決勝ゴールを挙げたMF河合は後半32分にMF松田に代わってピッチに投入されたが、前半21分の先制点のシーンもボランチのMF松田のオーバーラップがきっかけになっていて、ボランチからの飛び出しで2点を奪ったことになる。
MF中村俊輔が入ってポゼッション力が向上している横浜FMはシュート数はリーグトップであるが、20試合で25ゴールと上を目指すには少ない数字である。バランスが大切になるが、もともと守備が堅いだけにもっとボランチが頻繁に攻撃に参加出来るような状況になっていくことができれば、得点力も上がっていくことだろう。
■ マリノスのポテンシャルは?早野監督・桑原監督・2人の木村監督と、ここ数年、頻繁に指揮官が変わっている横浜FM。2003年と2004年に2連覇したことも遠い昔となって、ここ数年はタイトル争いに加われないままのシーズンを過ごしている。
現状、このチームがもっているポテンシャルがどの程度なのか、分かりにくい。鹿島、清水、G大阪といった上位チームの多くが同じ監督のもと、一貫した戦いが出来ているのに対して、横浜FMは、毎年のように、そして毎試合のようにスタメンが変わっていて、落ち着きはない。
数年間、勝ったり、負けたりとそこそこの成績は残しているが、最終ラインにはDF中澤とDF栗原がいて、各ポジションにA代表や年代別の代表を経験した選手が揃っている。ちょっと頑張ったら、タイトル争いに参加出来るようなポテンシャルを秘めているのではないだろうか?
例えば「外国人助っ人」の問題。また、この日も外国人はゼロ。日本人だけのメンバーでシーズンを戦うのは、今のJリーグの中では難しく、これだけ毎年のように外国人なしのメンバーとなってしまうのは大きな問題である。
例えば「監督」の問題。木村和司監督は新米の監督としては健闘している部類であるが、「新米の監督としては」というただし書きはついてしまう。何も新米の監督にこだわる必要はなく、もっと経験があって、有能な監督は探せばいくらでもいるはず。もったいなくて、損をしている部分は多い。
#3 マリノス・サポーター
■ 押し込んだ理由前半は低調だった京都であるが、後半はかなり改善されて押し込むことに成功した。この時期になると「結果がすべて」なのは間違いないが、ここから奇跡の残留を目指すには「内容も伴ったサッカー」を続けていかないと不可能であり、必須となる大型連勝は見えてこない。
きっかけとなったのはDF森下とMF安藤。この二人の後半のパフォーマンスは素晴らしかった。3バックの左で先発したDF森下は、途中から4バック気味の布陣になると左サイドバックでプレー。1点ビハインドの中、積極的にサイドを駆け上がってクロスを供給した。
186cmのFW金成勇が前半のみでベンチに下がってしまった影響もあって、DF森下のクロスが中と合わないシーンも数多く見られたが、一列前のポジションに入ったMF中村太とのコンビも良くて、DF森下が上がっていったら、MF中村太が最終ラインまで下がってしっかりカバーするといった連携も取れていて、さらにはチャンスと見るや2人ともに上がっていって、サイドを崩すシーンも見られた。
また、前半は低調だったボランチのMF安藤も、後半は的確なポジショニングでルーズボールを拾ってセカンドチャンスにつなげることに成功。MF佐藤勇人とMFシジクレイが退団し、ボランチが最大のウイークポイントになっていたが、この日の前半のようなプレーであれば落第であるが、後半のプレーであれば問題はない。(ただ、最後のMF河合に走り負けてシュートを決められたシーンは大きなマイナス。木村監督の采配がズバリ的中した形であったが、途中出場で元気なMF河合に走り負けてしまった。)
■ 交代カードの問題 京都は後半19分に1対1に追い付いてから、まだ十分に時間が残っていて逆転の可能性もあったが、あまり有効なカードが残っておらず、もっと圧力を加えたかった状況で圧力を与えきれなかった。
「得点を奪う力」があるという点を買ってMF中山に代えてMF角田を投入するというアイディア、長身のDF郭泰輝をパワープレー要因でトップに起用するアイディアもあったが、結局、2枚目のカードは後半36分になってから。FWドゥトラに代えてFW中村充孝を投入したが、これは結果的には不成功。FW中村充は何度かいい形でボールを持つシーンもあったが、周りとあっておらずややブレーキとなった。
コンディション等の状態は分からないが、FW宮吉やFWハウバート・ダンといった前線の選手がベンチにいれば・・・という気もする。勝ち点「1」ではダメという追い込まれた状況の割には、得点を奪うカードが少な過ぎた。
#4 試合終了
■ 奇跡はあり得るか?京都はこれで15試合勝利なし。この時点で11位のモンテディオ山形が勝ち点で「27」を稼いでいて、今の状況では雲の上の存在で届きそうもないが、勝ち点「21」で12位の大宮と13位の磐田と差は「10」。これだけ勝てていない状況にもかかわらず、そこまで絶望的な差というわけでもない。
ここから追い上げていくには攻撃陣の奮起が必要であるが、注目したいのは前線の組み合わせ。この日はFWディエゴ、FWドゥトラ、FW金成勇のトライアングルだったが、このトライアングルが最適かといわれるとかなり疑問である。
FWドゥトラはこの試合は右ウイング気味のポジションに入って同点ゴールを起点となったが、そのポテンシャルを十分に発揮できているとはいいがたく、今シーズン、FWドゥトラがスタメンに入った試合は10試合で8敗2分け。スピードに乗った時のドリブルは脅威であるが、それ以外ではマイナス面も多い。また、FWディエゴもセルフィッシュなプレーが多く、スペシャルな部分を見せられていない。
散々な結果と内容だったホームの湘南戦や浦和戦と比べると、チームとして戦う姿勢は見えてきた。あとは用兵や戦略。監督としての経験は少ないが、秋田監督に求められることは多く、難しい状況であるが、幸いにしてホームのサンガ・サポーターの多くはまだ残留を諦めてはいない。
#5 試合後
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