■ 最終戦ワールドカップアジア最終予選のラストゲーム。アウェーのオーストラリア戦はメルボルンでの試合となった。すでにワールドカップ出場を決めている両チームは主力数名を欠いての試合となった。
日本は<4-2-3-1>。GK楢崎。DF内田、闘莉王、阿部、長友。MF橋本、今野、松井、中村憲、岡崎。FW玉田。MF中村俊、MF大久保、MF長谷部、MF本田と昨シーズン、海外クラブに所属した選手はお休み。DF中澤も体調不良で欠場。MF遠藤も遠征に帯同していない。
■ 闘莉王の先制ゴール前半は五分五分の展開。
立ち上がりにロングパスからMFケーヒルに抜け出されてシュートを放たれるがGK楢崎が防ぐ。日本は両サイドバックが高い位置にポジションを取って攻め込む。
双方、なかなかシュートまで持って行けない展開の中、前半40分にMF中村憲のCKをDF闘莉王が豪快にヘッドで決めて先制。オーストラリアの予選での無失点記録はこれでストップ。前半は1対0の日本リードで終了。
■ ケーヒルの2ゴール後半はホームの大観衆の前で負けられないオーストラリアが優勢。194cmのFWケネディにボールを集めてフィジカル勝負で挑んでくる。
途中まではうまくセンターバックコンビが抑えていたが、後半14分に右サイドからのセットプレーを中央のMFケーヒルにヘッドで決められて同点になると、さらに、後半31分にも右コーナーキックから流れたボールをファーサイドのMFケーヒルに決められて逆転を許す。
日本は同点を狙ってFW興梠を投入するが、決定機は作れず。またしてもMFケーヒルにやられた日本は2位でグループリーグの戦いを終えた。
■ 中澤不在の影響中盤の主力メンバーの多くとDF中澤を欠く中、代役のメンバーが奮起し、悪くない戦いを見せた岡田ジャパンだったが、ドイツW杯に続いてMFケーヒルに2ゴールを奪われて逆転負けとなった。
MFケーヒルのマークについていたのはMF阿部だったが、単純なフィジカル勝負ではやはり劣勢で、DF中澤不在の影響は大きかった。DF闘莉王は194cmのFWケネディを警戒せざるえない状況であり、高さでオーストラリアと勝負できる選手がDF闘莉王以外にいなかった。
結局、2失点ともセットプレーでのゴールであり、流れの中ではそれほどチャンスを作らせていなかっただけに、悔いの残る失点となった。ベンチにはDF山口とDF槙野が控えていたが、後半途中からDF阿部が相手とのバトルに敗れるシーンが目立っていただけに、もう少し早く手を打っても良かった。
■ 松井大輔の交代MF中村俊不在の中、背番号「10」を背負ったは、久々のアピールのチャンスということもあって、積極的にプレーした。フランスでのプレーが長く、外国人のディフェンダーを相手にどのようにプレーすればいいのかよく分かっており、ほとんどボールを失わなかった。
更なるアピールのためにゴールやアシストが欲しかったところであるが、ここ最近の日本代表でのプレーの中では一番いい出来だったし、相手に攻め込まれる展開になるとMF松井のキープは生きてくる。
ただ、怪我のあったのかMF松井は後半23分でFW矢野と交代。ベンチ入りメンバーに中盤の選手が誰もいないという厳しい状況だったのでFW矢野の右サイドでの起用は想定内であるが、そのFW矢野が全く流れに乗れなかった。
FW矢野自身もイージーなミスが目立ち、自身のプレーの精度にも問題はあったが、それ以上に、FW矢野をどう生かすのか、チームとして見えてこなかった。サイドで張ってボールを待てばいいのか、中央に入って高さを生かすのか。結局、サイドを右往左往しただけに終わった。
■ 意地を見せた闘莉王逆転負けという結果に終わったが、この試合のDF闘莉王のパフォーマンスは際立っていて、おそらく日本代表でのベストゲームだっただろう。先制ゴールのシーンは言うに及ばず、攻守ともに光っていた。
1失点目のシーンは後ろから飛び込んで来たMFケーヒルの勢いに負けて相手にシュートを許してしまった。これだけが悔やまれるが、ロングパスの精度の高さは他のフィールド上の選手の全てを凌駕していた。
■ 玉田の1トップは限界ではないのか?①岡田ジャパンのスタメンが固定されて以降、ほとんどの試合で1トップを務めるのがFW玉田である。典型的な昔風の1トップタイプではなく、明らかに、今風の1トップである。ゼロトップとも表現できる。
類稀なスピードとテクニックを備えており、中盤のパス回しにも参加出来て、なおかつ、そこから飛び出して行ってシュートまで持ち込むことが出来る。前線にFW玉田のような選手がいると、非常に便利であり、ボールがスムーズに回る可能性は高くなる。
ただ、やはり、肝心のゴールまでの仕事が少なすぎて、結局、ゴール前でいつも枚数が不足してしまう要因になっている。また、高さがないので、事実上、日本代表はセットプレー以外では、ロングボールを放棄せざるをえない。
■ 玉田の1トップは限界ではないのか?②では、誰が日本代表のフォワードに適しているのか?を考えると、簡単に答えは出ない。全盛期のカズのような存在は見当たらず、世界レベルで見れば、どの選手も一長一短であるのは間違いない。
1トップに限定するなら、ポストプレーに定評があって高さもあるオールラウンドなジュビロ磐田のFW前田遼一か。怪我がちなのは不安だが、ポテンシャルは間違いない。また、ゴール数という明確な数字を残しているFW佐藤寿人も候補である。彼も170cmと小柄で高さはないが、ゴール前で確実に仕事が出来るという意味では日本№1である。
日本代表での実績は全くないが、可能性を考えるならば、カターニャのFW森本というアイディアも捨てがたい。彼もゴール前で力を発揮するタイプであり、それ以外の仕事を十分にこなすことが出来るかは分からないが、ゴールセンスはピカイチである。伸びしろも十分にある。
もちろん、ベテラン選手数名もコンディションさえ整えば、候補に挙がってくる。具体的に名前を出すと、ドイツW杯のオーストラリア戦で2トップを組んだ浦和のFW高原と京都のFW柳沢である。特に、FW柳沢の柔軟性は岡田ジャパンの1トップにはまりそうな感じもする。また、東京Vでゴールを量産していて、全盛期のプレーを完全に取り戻しているFW大黒も候補に挙がってもおかしくない。彼も、ドイツ大会のオーストラリア戦でピッチに立った選手である。
FW森本以上に未知数で現実的ではないかもしれないが、可能性を感じさせる大型フォワードとしては、モンテディオ旋風の立役者の一人である187cmのFW長谷川悠やザスパ草津ですでに10ゴールを上げている同じく187cmのFW都倉賢の名前が挙げられる。
[岡田ジャパン(観戦記)]0914 2008/01/26
【日本×チリ】 期待と不安のスタート 0919 2008/01/30
【日本×ボスニア・ヘルツェゴビナ】 山瀬功治の2ゴール0927 2008/02/06
【日本×タイ】 あぶなげないスタート 0945 2008/02/20
【日本×中国】 FAIR PLAY PLEASE !0995 2008/03/27
【バーレーン×日本】 岡田ジャパンの限界 1074 2008/05/25
【日本×コートジボワール】 存在感を示す長友佑都 1077 2008/05/28
【日本×パラグアイ】 岡田流って何なのさ? 1084 2008/06/03
【日本×オマーン】 中村俊輔の存在感 1088 2008/06/08
【オマーン×日本】 大きな進化を見せる玉田圭司 1093 2008/06/14
【日本×タイ】 田中マルクス闘莉王の価値 1106 2008/06/22
【日本×バーレーン】 浮き彫りになった課題1245 2008/11/20
【日本×カタール】 日本代表の核になりつつある長谷部誠 1314 2009/01/20
【日本×イエメン】 ボランチ青木剛の貢献度 1324 2009/02/04
【日本×フィンランド】 いぶし銀のボランチ橋本英郎 1332 2009/02/11
【日本×オーストラリア】 俊輔と決別する時 1604 2009/03/28
【日本×バーレーン】 俊輔の左足が炸裂 1668 2009/05/27
【日本×チリ】 本田圭佑が見せたパフォーマンス 1673 2009/05/31
【日本×ベルギー】 岡田ジャパンは本当に強くなったのか? [岡田ジャパン(全般)]0824 2007/11/27
岡田武史氏がベストな人選なのか? 0867 2007/12/06
【投票】 あなたは岡田ジャパンを支持しますか? 0910 2008/01/23
日本代表メンバー発表(チリに向けて) 0912 2008/01/25
「オシムジャパン」、そして「岡田ジャパン」への思い 0921 2008/02/01
こんな選手を岡田ジャパンに・・・ 0922 2008/02/02
MF鈴木啓太の存在価値 0930 2008/02/09
ゴール前に中澤佑二がいる幸せ 0932 2008/02/10
坪井慶介が鳴らす代表チームへの警告 0971 2008/03/11
ジュニーニョの日本代表入りに対する思い 0994 2008/03/25
「誰が」「いつ」「どのようにして」岡田氏と反町氏を斬るのか? 0997 2008/03/27
岡田流なら支持できない!!! 1020 2008/04/17
こんな選手を岡田ジャパンに・・・(その2) 1075 2008/05/26
香川真司のA代表デビュー戦に思うこと 1153 2008/07/28
岡田ジャパン 新選出メンバー(9名+阿部翔平) 雑感 1287 2009/01/02
2009年 10大ポイント③ 「あなたは岡田ジャパンを支持しますか?」 1312 2009/01/19
日本代表MF香川真司を論ずる。 1662 2009/05/21
日本代表メンバー発表 26人について
- 関連記事
-